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2021 年度 実施状況報告書

マカートニー使節団の記録にみる中国像――未公刊史料を中心に――

研究課題

研究課題/領域番号 17K18311
研究機関日本大学

研究代表者

熊谷 摩耶  日本大学, 国際関係学部, 研究員 (90759078)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード比較文化 / 英中交流史 / マカートニー使節団 / 東西交流史 / 中国像 / 異文化表象 / ウィリアムアレグザンダー / 異文化理解
研究実績の概要

本研究の目的は、西欧諸国にて中国像が大きく変化する、いわば過渡期とされている18世紀-19世紀初頭の中国像の原型を明らかにすることである。具体的な方法として、マカートニー使節団員が記した日記、著書、画像集を精査し、共通して記している項目の検討を行う。さらに、団員の画家アレグザンダーの未公刊のスケッチ本三冊に画像、未公刊の日記などを公刊済みの著作との比較検討を行う。それによって、団員たちが公刊にあたって新たに追加した中国的要素を抽出し、彼らが意図的に示した中国像を明確化することを目的としている。これまで、アレグザンダーの記した未公刊の日記、公刊済みの図書に描かれた挿絵を中心に検討をおこなってきた。
2021年度は、渡航が可能になった際に英国での史料調査を滞りなく進めるため、また論文執筆にあたって主に以下の2点を行った。1)アレグザンダーの著書『中国の衣服 』(1805)、『中国の衣服および風俗のピクチャレスク画 』(1814)の精査、2)18世紀英国における中国情報の需要についての調査。英国での資料調査を行う目的としては、アレグザンダーの絵画の挿絵とそれと一致するスケッチ画を見つけ、その差異を調査することにある。アレグザンダーの著書に見られる中国の風俗を記した絵画の基となったとみられるスケッチ集は3冊大英図書館に所蔵されている(請求番号はWD959,WD960,WD961)。2021年度は新型コロナウィルス感染防止のため英国への渡航が難しく、現地での調査を行えなかったが、現在手元にある史料の検討ならびにアレグザンダーの刊行済みの図書における絵画と、未公刊のスケッチ画との共通点を見つけるために、事前に特徴的な絵画の選出を行った。また、18世紀英国における中国情報の需要について、団員のアンダーソンの著書に関する一考察を発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2021年8月より出産のため研究活動を中断していたのが第一の理由であり、2022年8月以降再び研究活動を本格的に始動したい。また、本研究で必要なアレグザンダーのスケッチ本はデジタル化しておらず、英国現地での調査でしか目にすることができないため、新たな史料を基にした研究が進められないこともあった。一方、上記で記したように、英国での円滑な調査に向けての準備を進めてきたので以上の評価とした。

今後の研究の推進方策

英国での調査の準備、ならびにこれまでの成果の論文執筆、学会発表等の成果の報告に焦点をあてていきたい。なお、調査の準備は1)大英図書館での調査を滞りなく進めるために、アレグザンダーの挿絵をリスト化、2)アレグザンダーの日記と他の団員との日記との整合を主に進めたい。
1)においては、アレグザンダーの二冊の著書に描かれた挿絵だけではなく、アレグザンダーの絵画をその著書で使用している副使ストーントンAn Authentic Account of an Embassy from the King of Great Britain to the Emperor of China ,Vol. 1-3(London: Printed for G. Nicol,1798)、機械係バローTravels in China(London,1804)の4冊もリストの対象とする。アレグザンダーの著書は、項目ごとに描かれているが、ストーントン、バローの著者と異なり時系列順に記されているため、挿絵の内容についてリスト化し、スケッチ画との一部、もしくは全体との一致を調査したい。2)に関しては、団員らは現地では移動するタイミング、場所が団員ごとに異なっているため、見聞きした内容も、場所と異なっている。また、スケッチによっては想像や、見聞きした内容だけで描かれているものもある可能性もある。そこで、事前にアレグザンダーと他の団員の細かなスケジュールを把握しておくことで、調査時にスケッチ画が描かれた場所、日時を明らかにしたい。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は英国での史料調査を予定していたがコロナ禍の影響により渡航を断念せざるを得なかったため。なお、助成金は英国での史料調査に使用する計画であるが、予定していた英国での調査は次年度に行えることを期待したい。困難な場合は、国内での調査に切り替えることも検討している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] マカートニー使節団員のその後―18世紀英国の中国情報と需要2022

    • 著者名/発表者名
      熊谷摩耶
    • 雑誌名

      なじまぁ

      巻: 12 ページ: 25-25

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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