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2022 年度 実施状況報告書

マカートニー使節団の記録にみる中国像――未公刊史料を中心に――

研究課題

研究課題/領域番号 17K18311
研究機関日本大学

研究代表者

熊谷 摩耶  日本大学, 国際関係学部, 研究員 (90759078)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2024-03-31
キーワード比較文化 / 英中交流史 / マカートニー使節団 / 東西交流史 / 中国像 / 異文化表象 / ウィリアムアレグザンダー / 異文化理解
研究実績の概要

本研究の目的は西欧諸国にて中国像が大きく変化する、いわば過渡期とされている18世紀-19世紀初頭の中国像の原型を明らかにすることである。具体的な方法として、マカートニー使節団員が記した日記、著書、画像集を精査し、共通して記している項目の検討を行う。さらに、団員の画家アレグザンダーの未公刊のスケッチ本三冊に画像、未公刊の日記などを公刊済みの著作との比較検討を行う。それによって、団員たちが公刊にあたって新たに追加した中国的要素を抽出し、彼らが意図的に示した中国像を明確化することを目的としている。これまで、アレグザンダーの記した未公刊の日記、公刊済みの図書に描かれた挿絵を中心に検討を進めてきた。
2022年度は主に以下の二点を中心に行った。
(1)研究目的である中国像の「変化」が発生した理由および契機を明らかにし19世紀の西欧諸国の中国像へのより正確な理解を得るために、アヘン戦争前後の英中双方の情報を確認した。その成果を講演にて発表。
また、今年度もCOVID-19による影響で研究目的を達成するために不可欠である、英国での史料調査の渡航が難しいと判断したため英国現地での資料調査に向けて以下の点を遂行した。(2)団員と共通する関心事項を確認するために、アレグザンダー以外の団員(大使マカートニー、副使ストーントン、機械係バロー、従僕アンダースン)が言及している中国像に関する記述の再検討ならびに精査。なお、アレグザンダーの著書に見られる中国の風俗を記した絵画の基となったとみられる未公刊のスケッチ集は3冊大英図書館に所蔵されており(請求番号はWD959,WD960,WD961)、これらを現地で円滑に調査するための事前調査を進めることができたといえよう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究で目的としている、団員たちが新たに追加した中国的要素を抽出し、彼らの中国像を明確化するためには、団員らの著作の比較検討を行うだけではなく、アレグザンダーのスケッチ本などをはじめ英国での史料調査が不可欠である。そのため、史料調査のための準備を進めてはいるものの、実際の調査はCOVID-19流行の影響で滞っていること、該当資料がデジタル化されていないこともあり(3)やや遅れている、とした。なお、研究期間の延長を申請が可能となったため、実施できた場合は現地での調査の成果を発表できるよう調査を進めたい。

今後の研究の推進方策

2023年度は、(1) 英国の図書館、大学等でアレグザンダーのスケッチ本等の調査、(2) 調査の結果の検討を行い、公刊済みのアレグザンダー、挿絵を提供しているストーントン、バローらの著作との比較検討を行う。また上述した「研究実績」に記載したように昨年度に行った(2)の研究活動の成果発表を国内外で行う予定である。これまでコロナ禍の影響により英国現地での研究調査が実施できずにいたが、今年度は調査を行うべくアレグザンダーの刊行済みの著書、未公刊の日記の精読を通し、主たる調査対象としているスケッチ画像との比較を円滑に進めたい。

次年度使用額が生じた理由

助成金は主に英国への渡航費用、現地での史料の印刷代等々に使用する予定であったが、今年度はCOVID-19の流行の影響で、研究目的を達成するために不可欠な英国での史料調査を遂行することが困難であった。そのため研究延長の要請を行い、結果として次年度使用額が生じることとなった。

備考

日本大学国際関係学部 国際総合政策学科 第二回学術講演
タイトル:「アヘン戦争以前の中国と西欧の出会い:中国の対外的姿勢の評価とその変遷」(2022年7月18日発表)発表者:熊谷摩耶

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公開日: 2023-12-25  

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