研究課題/領域番号 |
17K18312
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研究機関 | 福井医療大学 |
研究代表者 |
菅野 智也 福井医療大学, 保健医療学部, 講師 (20639455)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | groin pain / サッカー / 股関節骨形態 / キック動作 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、男子サッカー選手に発生率が高いとされる鼠径周辺部痛(GP)発生の原因について、発育に伴う骨の器質的変化および特徴、股関節筋力、股関節可動域、キック動作のキネマティクスおよびキネティクスから明らかにすることである。 2019年度は、社会人男子サッカー選手13名、小学生男子サッカー選手3名を対象に、放射状MRI撮影によるα角の計測および股関節・大腿骨顆部のMRI撮影による大腿骨前捻角・寛骨臼前捻角の計測および解析を行った。この解析結果については、第45回日本整形外科スポーツ医学会学術集会にて発表した。さらに詳細な解析結果について、3月にアメリカで開催された第14回国際リハビリテーション医学会で発表予定であったが、COVID-19の影響により演題を取り下げた。 また、社会人男子サッカー選手17名を対象にアンケ―ト調査、等速性筋力測定装置を用いた180°・300°/secの股関節筋力(内・外旋、内・外転)、股関節可動域測定、3次元動作解析装置を用いたキック動作解析の測定および解析を行った。これらのデータを用いて、GP発生と現在の鼠径部の状態、キック動作、筋力、可動域、骨形態との関連性について新たな知見が得られることが期待できる。 本年度は、これらに加えて、鼠径部および股関節の問題に対して国際的に用いられてる患者アウトカムスコアであるThe Copenhagen Hip and Groin Outcome Score(HAGOS)の日本語版を原著者の了解を経て、翻訳ガイドラインに従って作成し、KOOSのHPで公開された。この取り組み内容については、第3回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会にて発表し、信頼性および整合性の検討を含めた論文を作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
社会人男子サッカー選手のデータについてはおおむね順調に蓄積出来ており、研究成果についても学会発表が行えている。しかし、小中学生・高校生を対象としたMRI撮影に関して、対象数が少なく当初の予定より遅れている。これは、MRI撮影を実施する施設の撮影可能な時間と選手の所属チームおよび選手の都合等との時間調整が上手く進んでいないことも要因として挙げられる。また、小中学生に関しては保護者等の送迎が必要であり3者の予定を調整する必要がある点も理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは、シーズンオフの12月~3月の期間に限局し、MRI撮影の期間を設定してきたが、2020年度は年間を通して撮影可能な日を設定し広く対象者を募っていく。また、これまでは対象者の競技レベルや条件を厳しく設定してきたが、条件を緩和してさらに広く対象者の募集を行うことで対象者の確保に努めていく。また、選手側だけではなく、MRI撮影を実施する施設側とも交渉を進め、撮影可能な時間をより多く確保できるよう働きかけていく。 本年度は、昨年度末より問題となっているCOVID-19の感染拡大により、対象者確保や研究遂行にあたって大きな弊害となることが十分考えられる。これに対しては、感染防止の観点から対策を十分に遵守しながら、できる限り研究を進めていきたい。 また現段階で多くのデータが蓄積できているため、現存のデータを用いて論文作成や学会発表等による成果公表をより積極的かつ本格的に実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は予定していた対象者数に満たなかったため、謝金・MRI撮影料等が予定を下回り、当該年度使用額に満たなかった。 2020年度は、対象者数の更なる蓄積を目指し、謝金・MRI撮影料に使用し、小中学生、高校生の移動等の問題が生じた場合は必要に応じてタクシー代に使用する予定である。また、研究に関わる学会年会費や消耗品や英文校正・論文投稿料等に使用する予定である。
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備考 |
The Copenhagen Hip and Groin Outcome Score(HAGOS)の翻訳過程に関するAbstractおよび日本語版HAGOSを掲載しPDFファイルにてフリーでダウンロード可能。
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