研究課題/領域番号 |
17K18312
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研究機関 | 福井医療大学 |
研究代表者 |
菅野 智也 福井医療大学, 保健医療学部, 講師 (20639455)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | groin pain / サッカー / 股関節骨形態 / キック動作 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、男子サッカー選手に発生率が高いとされる鼠径周辺部痛(GP)発生の原因について、発育に伴う骨の器質的変化および特徴、股関節筋力、股関節可動域、キック動作のキネマティクスおよびキネティクスから明らかにすることである。 2020年度は、これまで股関節MRI撮影を実施した社会人サッカー選手33名の放射状MRIによるα角の計測および股関節・大腿骨顆部のMRI撮影による大腿骨前捻角・寛骨臼前捻角の計測および解析を行った。解析結果により得られたデータからサッカー競技開始年齢と股関節骨形態の関連性について、発育早期からのサッカー競技開始は、将来的な大腿骨前捻角減少と関わっていることを日本リハビリテーション医学会北陸地方会にて発表した。 キック動作の3次元解析データについては解析とデータの処理・抽出を実施し、③3つの異なる方向へ設定した目標に対するインフロントキック動作の特徴について、先行研究に基づいてキック動作を相分けし、主に骨盤・股関節のキネティクスとキネマティクスの観点から検証した。 股関節痛および鼠径部痛のアウトカム評価として日本語版を作成したThe Copenhagen Hip and Groin Outcome Score(HAGOS)については、大学男子サッカー選手30名に対し、HAGOSとSF-36の評価を実施し妥当性の検証を行った。今後は、日本語版HAGOS信頼性の検証を行うため、慢性的に股関節痛を有する対象に対して評価を実施し、検証を行う。また、日本語版HAGOSの異文化適応および信頼性、妥当性の検討について論文を作成し投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、2020年2月から継続して、COVID-19の感染拡大の影響を受け、対象者の所属するクラブチームがリーグ戦や練習試合等で県外へ頻繁に往来していたため、本学の感染対策規定により予定していた本学研究室における研究が全く実施出来なかった。また、股関節MRI撮影についても同様に、COVID-19にの感染拡大による医療機関側の感染対策規定により、実施出来たのは社会人サッカー選手1名のみであった。 日本語版HAGOSの信頼性・妥当性に関する調査についてもCOVID-19感染拡大の影響を受け、対象者数が予定人数に満たなかった。
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今後の研究の推進方策 |
社会人サッカー選手のデータについては、現段階で実施済みのデータの抽出、整理、そして解析を行った。股関節MRIについては、大腿骨前捻角、寛骨臼前捻角、α角の測定を実施し、学会発表も実施済みである。 鼠径部痛および股関節痛の患者報告アウトカムであるHAGOSの日本語版を作成し、KOOSのHPにてフリーでダウンロード可能となった。日本語版HAGOSについての異文化適応過程については、学会にて報告した。現在は、異文化適応の過程に加えて、信頼性と妥当性の検証を行っている段階である。2021年度も引き続きCOVID-19の感染拡大の影響が予想されるため、現時点で実施できているデータを利用し、可能な限り論文作成を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID-19感染拡大による影響で、研究施設である福井医療大学および福井総合病院への外部対象者の出入りが著しく制限され、予定していた研究を実施出来ず、謝金・MRI撮影料等が予定を下回ったため、当該年度使用額に満たなかった。2021年度は、対象者数の更なる蓄積を目指し、謝金・MRI撮影料に使用する予定である。また、MRIの画像解析や3次元データの解析をこれまでより詳細且つ効率的に実施し信頼性を上げることを目的に、PCおよび周辺機器(モニター等)を購入する。さらに、研究に関わる学会年会費、消耗品、そして英文校正・論文投稿料等に使用する予定である。
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