研究課題/領域番号 |
17K18316
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
渡辺 みのり 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (10761124)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | プラスチックシンチレータ / 常温硬化 / 放射線検出器 |
研究実績の概要 |
プラスチックシンチレータは、応答の速い信号が得られる放射線検出器として素粒子実験や原子核実験分野において一般的に利用されている。また、プラスチックシンチレータは荷電粒子の測定の他に中性子の検出にも用いることが可能である。しかし、中性子による信号をプラスチックシンチレータを用いて捉える場合には、検出器の大型化が必要になる。このような観点から、プラスチックシンチレータに中性子反応断面積の大きなホウ素を含有したホウ素含有プラスチックシンチレータも市販されており小型化も可能であるが、一般的なプラスチックシンチレータと比較して大変高価であるという難点がある。 先行研究で開発を行っている常温硬化プラスチックシンチレータは、作製工程を簡略化することにより安価に作製することが可能である。申請者は、この新型プラスチックシンチレータにホウ素やリチウムなどの中性子吸収剤を添加した安価な小型中性子位置検出器を開発することを目的としている。 今年度の研究では、新型シンチレータへのホウ素添加に重点をおいて、ホウ素含有新型プラスチックシンチレータの開発を行ってきた。様々な化合物等を検討しホウ素を含有する新型プラスチックシンチレータを試作し、中性子線源を使って中性子検出信号の観測を試みた。リチウムについても適切な薬剤の検討を現在行っているところである。 本研究で開発を行っている新素材プラスチックシンチレータを用いることで 、市販品と比較して安価にホウ素などの機能性材料を添加したプラスチックシンチレータを開発できることが期待される。この技術は、素粒子実験や原子核実験分野だけではなく、原子力分野での安価な中性子モニターへの応用や医療分野への応用など幅広い分野への応用が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホウ素入り新型プラスチックシンチレータの試作を行い中性子線源による観測を試みた。また、リチウムの適切な添加物に関して検討を進めた。
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今後の研究の推進方策 |
リチウム化合物を用いて新型プラスチックシンチレータの開発を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の試作および測定の環境を共同研究を行っている新潟大学にて借用できたため、予定よりも支出を抑えられた。来年度は試薬の購入にあてる予定である。
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