研究課題
プラスチックシンチレータは、応答の速い信号が得られる放射線検出器として素粒子実験や原子核実験分野において一般的に利用されている。また、プラスチックシンチレータは荷電粒子の測定の他に中性子の検出にも用いることが可能である。しかし、中性子による信号をプラスチックシンチレータを用いて捉える場合には、検出器の大型化が必要になる。このような観点から、プラスチックシンチレータに中性子反応断面積の大きなホウ素を含有したホウ素含有プラスチックシンチレータも市販されており小型化も可能であるが、一般的なプラスチックシンチレータと比較して大変高価であるという難点がある。先行研究で開発を行っている常温硬化プラスチックシンチレータは、作製工程を簡略化することにより安価に作製することが可能である。申請者は、この新型プラスチックシンチレータにホウ素やリチウムなどの中性子吸収剤を添加した安価な小型中性子位置検出器を開発することを目的としている。本研究で開発を行っている新素材プラスチックシンチレータを用いることで、市販品と比較して安価にホウ素などの機能性材料を添加したプラスチックシンチレータを開発できることが期待される。この技術は、素粒子実験や原子核実験分野だけではなく、原子力分野での安価な中性子モニターへの応用や医療分野への応用など幅広い分野への応用が期待できる。2018年度は妊娠に伴う体調不良による休業および産休育休のため、1年近くの研究中断があった。そのため、今年度の研究はプラスチックシンチレータに添加するためのリチウム試薬の検討にとどまった。
3: やや遅れている
2018年度は妊娠に伴う体調不良による休業および産休育休を取得し、約1年間研究を中断したため、研究はやや遅れている。
今年度も引き続きホウ素含有型シンチレータのデータ取得を進める。また、リチウム含有プラスチックシンチレータの試作にも着手して中性子データ取得を試みる。Geant4シミュレーションを用いて、取得されたデータの妥当性を検討する。
2018年度は妊娠に伴う体調不良による休業および産休育休を取得し、約1年間研究を中断したため研究費を使用しなかった。次年度研究費はデータ測定環境増強のための追加測定モジュールを購入する予定である。さらにシミュレーション環境構築のために計算機も購入予定である。
すべて 2019 2018
すべて 学会発表 (3件)