研究課題
ウイルス感染は、ウイルスがもつ糖鎖認識部位が、細胞表面にある糖鎖を認識して結合することによって起こる。本研究では、糖鎖のウイルス認識能を利用したウイルス検出技術の開発を目指している。これまでに、環境低負荷なソープフリー乳化重合を用い、糖(グルコース)を表面固定化したポリメタクリル酸メチル(PMMA)微粒子のワンポット合成に成功している。一般的に、糖鎖の粒子への固定化法としては、カルボキシ基などの官能基を表面にもつ粒子を合成後、糖鎖を共有結合により固定化する手法が考えられるが、化学反応の際、糖鎖骨格部位が損なわれやすい。また、静電相互作用を利用した物理吸着では、粒子表面に吸着した糖鎖がはずれやすいという問題がある。そこで、本手法では、オクチル-β-D-グルコピラノシド共存下でソープフリー乳化重合を行うことで、疎水性のオクチル基部がアンカー(錨)となってPMMA粒子に埋め込まれる一方で、親水性のグルコース部を水溶媒と接する粒子表面に露出させることができる手法を確立した。グルコースと特異吸着するタンパク質であるコンカナバリンA(ConA)の吸着により、生成粒子表面にグルコースが存在することを確認している。2019年度は、グルコース固定化PMMA粒子の高機能化を検討するとともに、種々サイズをもつ粒子作製を試みた。蛍光色素を内包したグルコース固定化PMMA粒子は、目的物質の蛍光検出や細胞の蛍光標識用バイオマーカーとしての応用も期待される。磁場応答性をもつ粒子を内包したグルコース固定化PMMA粒子は、タンパク質吸着後の粒子を磁力で回収できることから、今後、ウイルスの検出・濃縮・分離操作のオートメーション化技術に貢献できると考えらえる。
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