研究課題/領域番号 |
17K18322
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研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
原田 敦史 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40612023)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 流体力学 / 風力発電 / 生物模倣 |
研究実績の概要 |
コルゲート翼型風車の効率向上を達成するため,本研究はコルゲート翼型形状を持つタービンの最適化を遺伝的アルゴリズムにより,探索することを目的としている.この研究では,タービンそのものの形状に加えて,タービン断面の凹凸形状の2種類の形状を対象としている.平成29年度は,回流水槽を用いた実験により,コルゲート翼凹凸内に作られる渦の発生と,後流に発生する剥離渦などの関係を可視化により明らかにした.凹凸のわずかな違いが翼の剥離に与える影響は大きいこと,迎角に関する後流幅の関係に大きな違いがあることなどを示すことができた.アルミ粉や紫外線照明などを用いた可視化手法の確立を行うことに加えて,熱線流速計による微流速領域における速度計測を行うことなどができたため,定量的な実験結果を残すことができており,次年度以降さらにデータの積み重ねを進める. 一方,タービン翼に関してはウイングレットの有無,タービン先端の形状と効率の関係を風洞実験から明らかにすることができた.また,タービンを大型化した場合,最適なタービン形状が異なることも実験から明らかにすることができている.風洞実験と同時に数値解析も進めていたが,数値解析に関しては,コルゲート翼の凹凸は抵抗として作用するという解しか得ることができなかった.タービンのスケールと比較して,凹凸内部に発生する渦のスケールが1000分の1程度とスケールの大きさを設定することが難しいため,再度,乱流モデルと格子幅の設定を行い,実験結果と整合性のある解析の設定を再考する必要がある.重合格子法などを取り入れた計算手法を取り入れ進めていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画として,[平成29年度]コルゲート翼単体の性能の解明と最適化,[平成30年度]低速(0~3m/s)領域におけるコルゲート翼の凹凸形状と効率の関係解明,[平成31年度]風車最高効率点のピーク化からフラット化(生物模倣によるパッシブ制御活用)を予定した.平成30年度から予定した風力タービンに関する研究を先行的に進めており,複数のコルゲート翼の凹凸形状を持つタービンの型の作成と実験を行うことができている.今年度行うべきであった「コルゲート翼単体の性能の解明と最適化」に関しては回流水槽を用いた実験で進めてきていたが可視化の結果のみであり,十分な結果が得られているとは言い難い.平成30年度より,日本文理大学に所属機関が変わることが決まっており,新たな実験装置等を作る必要がなく,研究が進めていくことが可能になっており,平成30年度に実験の速度をあげながら進めていく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度より共同で研究を遂行してきた日本文理大学マイクロ研究所に移動することが決まったため,前任者の実験装置等を使用することにより,コルゲート翼の可視化や力計測等は,より詳細な実験を行うことが可能になった.平成30年度は,この実験装置を用いて.実験データの収集に取り組んでいく予定である.タービン翼に関する研究は,大学内にある屋外計測装置を活用しながら進めていき,風洞実験と同時に屋外環境における研究も行っていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
材料を大量に購入したことによる材料費の低下,および転籍などがあり当初の購入物品の予定から変更が生じたためである.
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