研究課題/領域番号 |
17K18329
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
朴 堯星 統計数理研究所, データ科学研究系, 助教 (10583205)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地方移住 / 移住者 / 地域住民 |
研究実績の概要 |
現在,日本の地方都市においては,「地方創生」のもとで地方への移住者確保のための優遇策をとっているものの,十分な効果を発揮していないのが現状である.この問題に対し,本研究では,移住者と地域住民の双方のPersonal Community Networks(PCN)の影響が検討されてきていない点に着目し,多層的・多水準的構造のもとで,移住者と地域住民とのコミュニティーの形成が促進される可能性を提示し,その検証を行うものである.そのため,本研究では,日本の地方都市自治体を対象とし,移住者と地域住民のPCN形成メカニズムを計量的に明らかにすることを目指している. 初年度である平成29年度では,複数の過疎地域を対象とし,地方移住政策と地方移住の現状について各自治体へのヒアリング調査を行った.具体的な調査対象地域としては,三重県庁地域支援課移住促進部門の担当者,三重県内の5市(尾鷲市,津市,松阪市,鳥羽市,伊賀市)の移住政策担当者,東京都新島村式根島村の地域住民と移住者へのインタビューを実施した.インタビューを通じて,自治体共通の課題を見出すとともに,地域ごとの独自の課題について検討することができた.さらには,移住者と地域住民が感じるPCNの実態についても検討することができた. なお,各自治体に対しては,移住者と地域住民の双方を対象とした質問紙調査を来年度に予定している.このことから,ヒアリング調査の結果とともに従来の移住理論の限界を踏まえ,PCNを通じた移住者と地域住民との心理的関係性尺度を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,移住者と地域住民のPCNの形成・維持に影響しうる社会的文脈の影響を多層的構造社会現象と捉え,日本型地方移住促進策を探るものである. 初年度である平成29年度は,移住者と地域住民の双方を対象としたPCN質問紙調査の開発のため,(a)海外文献に基づく移住,コミュニティーの形成・構築に関する資料収集,(b)調査対象地域へのインタビューの実施を実施しており,地域社会の経済・構造的要因,②地域社会の文化・行動的要因等を検討した.さらに,各地方自治体からは次年度の調査実施に対する協力を得ることができている.以上より,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,今年度の成果を踏まえ,2年目である平成30年度は,各調査対象自治体を対象とした質問紙調査を行う予定である.同時に,得られる調査データへの解析手法を検討していきたいと考えている.
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