研究課題/領域番号 |
17K18332
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山内 健太 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (00513079)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 交連軸索 / ネトリン1 / 軸索誘導 / 脳室帯 / 腹側正中線 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、軸索誘導分子・ネトリン1による真の交連軸索誘導機構を明らかにすることである。平成29年度は、後脳交連軸索の腹側伸長に対する、腹側正中線、脳室帯のそれぞれに発現するネトリン1の寄与の解析を行い、脳室帯に起源を持つネトリン1こそが、後脳交連軸索の腹側伸長を制御していることを見出した。得られた成果は、論文並び学会で報告した(Yamauchi et al., Sci Rep, 7:11992, Yamauchi et al., 第123回日本解剖学会総会・全国学術集会)。 発生期の後脳、交連軸索が腹側正中線へと伸長する時期において、ネトリン1の転写活性は、腹側正中線並びに脳室帯において確認された。交連軸索の腹側伸長に対するそれぞれの寄与を明らかにするため、腹側正中線特異的、脳室帯特異的にネトリン1の発現を欠損するコンディショナルノックアウトマウスを作成し、その解析を行った。その結果、腹側正中線特異的にネトリン1の発現を欠損する個体では、後脳交連軸索の腹側伸長にほとんど異常は検出されず、一方で脳室帯特異的にネトリン1の発現を欠損する個体では、顕著な後脳交連軸索の走行異常が確認された。これらの結果は、交連軸索の腹側伸長は、脳室帯に由来するネトリン1により制御されていることを示唆しており、長年信じられてきた腹側正中線から分泌されたネトリン1が交連軸索を腹側正中線へと誘引するというモデルとは相反するものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在までに、平成29年度に設定した研究目的、「脳室帯を起源とするネトリン1が、交連軸索の腹側正中線への伸長に必要かどうかを明らかにする」の大半と、平成30年度に設定した研究目的「脳室帯を起源とするネトリン1が、どのようにして交連軸索の腹側伸長を制御しているのか」の一部を達成し、その成果を論文に取りまとめ発表した(Yamauchi et al., Sci Rep, 7:11992)。よって、現時点までに、本研究は当初の計画以上に進展していると判断している。 課題としては、部位特異的にネトリン1を欠損するコンディショナルノックアウトマウスにおけるネトリン1タンパクの発現分布の解析が遅れている点が挙げられる。平成29年度までにネトリン1タンパクに対する抗体を作成し、その特異性も確認している。平成30年度はネトリン1タンパクの発現分布解析に取り組んでいく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に、本研究計画目的の一つである「脳室帯を起源とするネトリン1が、交連軸索の腹側正中線への伸長に必要かどうかを明らかにする」を達成し、その成果を論文、学会で発表することができた(Yamauchi et al., Sci Rep, 7:11992, Yamauchi et al., 第123回日本解剖学会総会・全国学術集会)。平成30年度は、部位特異的にネトリン1を欠損するコンディショナルノックアウトマウスの詳細な解析を進めていく。また同時に、ネトリン1タンパクの発現分布解析を行うことによって、同年度に設定した研究目的「脳室帯を起源とするネトリン1が、どのようにして交連軸索の腹側伸長を制御しているのか」を明らかにすることを目指し、当初の研究目的を達成することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、異動を二回行った。異動先のそれぞれの研究機関における研究設備、研究試料の状況を把握し、それらが有効に活用できるものであるかを判断するのに時間を要したため、当初購入計画を立てていた備品、試薬を購入することができなかった。平成29年度末までに、現所属における研究備品、研究試料の状況を確認することができたので、平成30年度の初期の時点で、現所属において当研究計画の推進に必要不可欠な備品(インジェクター等)並びに研究試料(抗体、組織学試薬、分子生物学試薬等)の購入を進めていく予定である。
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