研究課題
若手研究(B)
長年に渡り交連軸索は腹側正中線から拡散したNetrin-1タンパクの濃度勾配を検出することにより腹側正中線へと到達すると信じられてきた(化学走性説)。研究代表者は腹側正中線、脳室帯のそれぞれにおいて特異的にNetrin-1 mRNAの発現を欠損させた際の交連軸索の腹側伸長に与える影響の解析を行い、交連軸索の腹側正中線への伸長は、脳室帯由来のNetrin-1タンパクの短距離作動性の作用により制御されていることを明らかにした。
神経解剖学
化学走性説に従い交連軸索が腹側正中線へと到達するというモデルはRamon y Cajalによる提唱以来、神経回路形成の基本概念となっていた。本研究の「脳室帯由来Netrin-1が短距離作動性の軸索誘導分子として機能することにより交連軸索を腹側正中線へと誘導する」という結果は神経回路形成の基本概念に再考を迫り、神経軸索再生や細胞移植といった再生医療の樹立へ向けた重要な知見となることが期待できる。