研究課題
福島県内の河川において、原発事故発生時の放射性物質の沈着量の違いや流域の面積や傾斜、植生、土地利用、土壌型などの流域の特徴が異なる地点で河川観測を実施した。最終年度も過去2年間と同様に、2017年4月に福島県内の帰還困難区域内で発生した林野火災の跡地およびその周辺の河川流域では、河川における放射性セシウムの動態を規定する要因が変化している可能性があると考え、特に集中して調査を行った。全ての観測地点は、過去2年間と同じ地点とした。採取した河川水中の溶存態および懸濁態の放射性セシウム(134Cs,137Cs)濃度などの化学成分の測定を行った。これまでの調査の結果、原発事故発生以降、河川水中の溶存態の放射性セシウム濃度は一桁以上の濃度の減少が起きていることが分かっており、林野は多くの放射性物質をため込んでいることも分かっている。帰還困難区域内で発生した林野火災の発生地およびその周辺では平水時には延焼地と非延焼地流域で顕著な濃度差がみられないため、放射性セシウムの水圏への流出量の変化は小さいこと、一方で、降水などの出水時には溶存態および懸濁態の濃度に変化がみられることが分かった。これらの研究成果については、国際・国内で開催された学会での発表を行うとともに、研究成果の一部については、国際誌において研究成果の発表を行った。研究期間を通じて研究は着実に進めることができたが、当初の予定より遅れていることもある。この点については、研究期間後も継続して研究を進める予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Science of The Total Environment
巻: 697 ページ: 134093~134093
10.1016/j.scitotenv.2019.134093
Environmental Science & Technology
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