重要な温室効果気体であるメタンは人為的には化石燃料消費や農業に起因して大気に放出される。大気中メタン濃度の観測は1980年代に始まったが、観測された濃度変化の要因についての理解は不十分で、放出量削減策の立案にとっても課題となっている。過去の変動を読み解くことも温室効果気体の循環の理解に重要であり、極域氷床コアやその上部の空隙層(フィルン)を利用した研究が行われてきた。本研究は、様々な大気成分のフィルン内での輸送過程を検討し、現在の観測データをもとに過去どの程度遡ってメタン濃度が復元できるかを厳密に評価したものであり、今後の氷床コアやフィルン研究の推進に重要な示唆を与えている。
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