研究実績の概要 |
平成30年度はベトナム・ハノイ市で行ったランダム化フィールド実験の結果を説明する応用ミクロ経済学理論の開発に取り組んだ。Fehr and Schmidt (1999)の不平等回避選好の理論モデルを拡張し、公共財を導入した。また、現実社会における公共財の私的供給を表現できるように、私的財と公共財の間の限界代替率が可変となることを許容するモデルを開発した。このモデルを用いることによって、実験の結果である、不平等回避的な個人には社会的比較の情報提供が資源ごみ分別行動を促す効果を持つが、そうでない個人には効果を持たないことを説明できた。また、先行研究での実験結果である(例えば、Croson and Shang, 2013)、社会的比較の情報が極端であると公共財の私的供給を促す効果がなくなるという結果を説明することもできた。この結果を論文化して、国際的な学術誌へ投稿した。加えて、引き続き、ランダム化フィールド実験自体の論文の修正作業を行った。
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