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2023 年度 実績報告書

階層を超えて分子構造と細胞機能をつなぐ新規1分子粒度計算技法の開発とその応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K18353
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

海津 一成  国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (80616615)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2024-03-31
キーワードシミュレーション / 生物物理 / 反応拡散 / 一分子計測
研究実績の概要

本研究では分子の一分子(ナノメーター)スケールの動態から細胞(マイクロメーター)スケールの動態を計算する一分子粒度シミュレーション技法に分子構造を取り入れることで分子構造計算と細胞レベルの生命現象を結びつけることを目的としている。第一に、一分子粒度シミュレーション技法に剛体球として表現される分子に異方性を取り入れ、分子の向きと回転拡散、さらに分子表面の一部分のみが反応活性を持つ場合の計算を可能にした。第二に、これまで三次元の自由拡散運動に限定されてきた従来法(拡張グリーン関数動力学法)に新たに一次元や二次元での反応拡散様式を実装した。加えて、細胞表面や細胞内小器官のような複雑な形状を持った構造体を表現するために、ポリゴンで表現された形状とその上での一分子粒度シミュレーションとポリゴン平面と三次元拡散する分子の結合・かい離反応を実装した。これにより、これまでのグリーン関数動力学法では扱うことが困難だった複雑な形状をふくむ反応拡散を高精度に計算することを可能にした。第三に、クロマチン環境における染色体構造とその分子混雑下での分子の動態についてモデル化を行った。高等細胞の染色体領域でゲノムはヌクレオソーム分子に巻き付き非均一な凝集状態を形成している。ゲノムを制御する分子はヌクレオソーム分子による分子混雑下を拡散し、制御領域にたどり着かなければならない。実際の一分子計測実験の結果に基づくシミュレーションにより、ヌクレオソーム分子の凝集状態とゆらぎ、拡散分子の大きさ(拡散速度)によってゲノムを制御している可能性が示唆された。本研究で開発された新規計算技法は、基盤ソフトウェアであるE-Cellシステムバージョン4に実装され、オープンソースで誰もが自由に利用可能なかたちで公開されている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] An architecture for collaboration in systems biology at the age of the Metaverse2024

    • 著者名/発表者名
      Jacopin Eliott、Sakamoto Yuki、Nishida Kozo、Kaizu Kazunari、Takahashi Koichi
    • 雑誌名

      npj Systems Biology and Applications

      巻: 10 ページ: 12

    • DOI

      10.1038/s41540-024-00334-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Technologies for whole‐cell modeling: Genome‐wide reconstruction of a cell in silico2023

    • 著者名/発表者名
      Kaizu Kazunari、Takahashi Koichi
    • 雑誌名

      Development, Growth & Differentiation

      巻: 65 ページ: 554~564

    • DOI

      10.1111/dgd.12897

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考] 統合細胞シミュレーションソフトウェア基盤E-Cellシステムバージョン4

    • URL

      https://ecell4.e-cell.org/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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