研究課題/領域番号 |
17K18356
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
佐藤 洋隆 国立研究開発法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 研究員 (00708539)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 牛白血病ウイルス / ウイルス感染阻害剤 / 薬剤スクリーニング / LuSIA |
研究実績の概要 |
平成29年度は、牛白血病ウイルス(BLV)感染阻害作用を持つ薬剤スクリーニングを実施するために、感染性測定系のさらなる高感度化および最適化を行った。 これまで我々のBLV感染性蛍光定量法(LuSIA)ではBLVのlong terminal repeat (LTR)のU3領域のみをプロモーターとして持ち、BLVの感染により緑色蛍光タンパク質を発現するレポータープラスミドをCC81細胞に安定導入したCC81-BLU3G細胞を用いて、感染性を定量していたが、本年度はスクリーニング系の高感度化を期して、LTR-U3領域のグルココルチコイド応答配列(GRE)に変異を導入したレポータープラスミドを安定導入し、CC81-GREMG細胞を新たに樹立した。CC81-GREMG細胞をBLV感染細胞株FLK-BLV細胞と共培養し、感染性を定量した結果、CC81-GREMGは従来のCC81-BLU3Gと比較し蛍光バックグラウンドが有意に低く、それにより認識可能な蛍光シンシチウム数が増加することでLuSIAの感度が増強されることが明らかになった。 そこでCC81-GREMGをレポーター細胞として96well plateを用いたスクリーニング系の構築を行い、BLV感染性分子クローンpBLV-IF2を用いたトランスフェクション系およびFLK-BLV細胞共培養系についてそれぞれ最適条件を検討した。 スクリーニング対象とする化合物ライブラリーについて、当初は東京大学創薬機構のコアライブラリーの利用を検討していたが、最終的に食用または乳用に供される牛への投与を目標とすることから、天然物化合物にアドバンテージのある理研天然化合物バンクの保有するライブラリーを用いたスクリーニングを優先して実施することとした。 現在は、テストランおよび標準化合物ライブラリーによるアッセイ系のバリデーションを実施しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では本年度中に2次スクリーニングまで終了し、候補化合物を選出する予定であったが、96well plateによるスクリーニング系では結果を安定させるために、従来使用していたレポーター細胞の高感度化が重要であった。そのためレポータープラスミドへの変異導入による感度の向上、および安定導入したレポーター細胞株を新たに樹立する必要があった。それによりスクリーニング系の構築、最適化の開始がやや遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニング対象とする化合物ライブラリーについて、当初予定の東京大学創薬機構コアライブラリーから理研内の理研天然化合物バンクの保有ライブラリーを選択したことで化合物および情報入手が迅速化した。現在はテストランおよび標準化合物ライブラリーによるアッセイ系のバリデーションを実施しているところであるが、来年度は早期にスクリーニングを実施し、ヒット化合物の作用機序解析を行う予定である。また、その際に使用する化合物ビーズは理研天然化合物バンクから協力を受けることで研究が加速できる見込みである。それにより現状の遅延は解消され、当初予定通り研究が遂行される予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に行う予定であった1次、2次スクリーニングの開始が、次年度始めまで遅延したため、その為の資材、試薬等が次年度購入になったことによる。
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