研究実績の概要 |
平成30年度は前年度に構築したCC81-GREMG細胞を用いたluminescence syncytium induction assay (LuSIA)による牛白血病ウイルス感染阻害剤スクリーニング系の、テストランおよび標準化ライブラリーによるアッセイ系のバリデーションを行った。その結果、アッセイ系が十分に構築されていることが確認できたことから、次にパイロットライブラリー400化合物について、FLK-BLV細胞との共培養において、化合物10ug/mLにおけるBLV感染阻害作用のスクリーニングを行った。同時に、WST-1法による化合物によるCC81-GREMG細胞に対する細胞毒性も測定した。その結果、細胞生存率90%以上かつコントロールと比較して蛍光シンシチウム形成を30%以上阻害する化合物が9化合物得られた。得られた化合物について10~0.1ug/mLで濃度依存性を検討したところ、そのうち6化合物で濃度依存的な阻害が見られた。得られた6化合物について、より活性の高い化合物を検索するため理研天然化合物バンク所蔵25,000化合物からそれぞれ類縁体の検索を行い、提供を受けた元化合物を含む合計280化合物についてスクリーニングを行った。その結果、化合物A~Fの類縁体はそれぞれ46/200化合物、5/22化合物、3/5化合物、1/24化合物、4/20化合物、0/4化合物が10ug/mLで蛍光シンシチウム形成阻害能を示した。複数の低毒性かつ阻害率の高い化合物が得られており構造関連相関による最適化が可能であると考えられたが、化合物D類縁体は全体的に細胞毒性の強く、得られた1化合物についても不溶性であり、化合物Fについては入手可能な類縁体数も少なく、活性化合物が得られなかった。今後は、最も阻害活性の強かった化合物A、B、C、E類縁体を用いた機能解析を行い作用機序の解明を進めていく。
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