本研究の目的は、立位姿勢の調節に貢献する「予測」の神経基盤について、明示的に外乱情報を付与した際に生じる脳準備活動を明らかにすることであった。本年度は、前年度に継続して外乱発生タイミングに関する「時間的予測」に焦点をあて、脳波実験を行った。具体的には、本年度内に以下の内容を実施した。 (1)本実験として、13名の健常成人に対して、時間的予測の有無および姿勢外乱の有無による立位時の脳波信号の変化を検証する実験を実施した。 (2) 脳波解析手法を学び、時間周波数解析、チャンネル間位相同期解析、信号源推定などの解析を施した。 上記の検討の結果、タイミング情報の付与に基づき運動感覚野で観察された複数の周波数帯域の活動増大/減衰は、大域的な位相同期の上昇を伴って、姿勢反応の調節に関与する可能性が示唆された。本年度は、今回の研究の契機となった経頭蓋磁気刺激を用いた研究、静止立位制御に関する研究について、学会発表ならびに論文発表をすすめた。
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