研究課題
グラフェンの原子レベルの構造制御によって電子状態や物理的性質の制御を可能に可能にするために,グラフェンに高エネルギーイオンを照射する方法を照射する方法を用いてヘテロ原子を導入する手法を開発している。本年度は,(1)高エネルギーイオン照射によるグラフェンへのヘテロ原子ドーピング法を確立するための研究開発を行った。また,(2)局所パターンドーピング法の開発の準備として装置の製作に着手した。(1) 高エネルギーイオン照射によるグラフェンのヘテロ原子ドーピング法の開発LiF/グラフェンヘテロ構造およびグラフェン表面上に窒素ガスを吸着させ,高エネルギーCuイオンを照射した。その結果,グラフェンへのフッ素および窒素がそれぞれドーピングされることを明らかにした。また,六方晶窒化ホウ素(h-BN)に対しても同様の手法でヘテロ原子のドーピングが可能であることを実証した。さらに,高エネルギーイオン照射により作製したフッ化グラフェン,窒化グラフェン,フッ化BNの電子状態や原子構造を光電子分光や第一原理計算により明らかにし,化学的手法で作製されたグラフェン化合物と比較検証した。これにより,高エネルギーイオン照射法を確立することができたといえる。(2) 局所パターンドーピング法の開発に向けた装置の製作局所パターンドーピングを行うために必要な高エネルギーイオン照射用試料ステージおよびシャドーイングマスクの製作に着手した。さらに,グラフェンとヘテロ原子の接合領域のみでヘテロ原子ドーピングが生じることを明らかにした。
2: おおむね順調に進展している
本研究は,高エネルギーイオン照射によるグラフェンのヘテロ原子ドーピング法の開発,局所パターンドーピング法の開発の2つの段階からなる。これまでにグラフェンおよびh-BNとヘテロ原子との接合領域に高エネルギーイオンを照射することで第1段階のヘテロ原子ドーピング法を確立することができた。今後,局所パターンドーピング法の開発に注力することで当初計画の成果を挙げることができると考えられる。
局所パターンドーピング法の開発に取り組む予定である。本年度の初期の段階でパターニング装置を作製し,高エネルギーイオンを照射によるパターンドーピングを実証する。
高エネルギーイオン照射による局所パターンドーピングに用いる装置の部品に設計変更が生じたため。次年度当初に同装置を作製する予定である。
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