研究実績の概要 |
本研究では、がん診断等に活躍するPET(陽電子断層撮影法)装置の画質(解像度と感度)改善に向けて、ガンマ線飛行時間差(time-of-flight: TOF)計測技術と三次元放射線位置(depth-of-interaction : DOI)計測技術の両立が可能である実用的なPET検出器の開発を進めている。 初年度は、短冊状シンチレータの片端光読み出し方式および両端光読み出し方式に関して、製品として入手可能な受光素子モジュールを用いた原理実証実験を行った。シンチレータについては、TOF 用として優れた性能を収めているLYSO・LFS シンチレータを用いた。それらの長さ(5 mm, 10 mm、15 mm、20 mm等)を変えた検討に加えて、表面研磨状態や結晶間材料(反射材の種類や挿入パターン)を変えた実験を行った。また受光素子については、TOF 用受光素子として実績の多いSiPM として、浜松ホトニクスMPPCモジュールを採用した。MPPCの有効受光面サイズ(3 x 3 mm2, 4 x 4 mm2, 6 x 6 mm2)やサブピクセルサイズ(25 μm, 50 μm, 75 μm)、及びそのモジュールのデータ処理方式などを変えた検討を行った。 結果として、片端光読み出し方式に関しては、DOI分解能5 mm(4層DOI相当)程度で500 ps前後のTOF分解能が得られた。また両端光読み出し方式に関しては、同じくDOI分解能5 mm程度で200 ps台のTOF分解能が得られた。
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