研究課題/領域番号 |
17K18378
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
田久 創大 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 計測・線量評価部, 博士研究員(任常) (60796473)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | PET / TOF / DOI |
研究実績の概要 |
本研究では、PET(陽電子断層撮影法)装置の画質(解像度と感度)向上に向けて、ガンマ線飛行時間差(time-of-flight: TOF)計測技術と三次元放射線位置(depth-of-interaction : DOI)計測技術の両立が可能である実用的なPET検出器の開発を進めている。 本年度は、前年度に簡易評価した検出器構造において、ブロック検出器開発のための実験・試作を行った。検出器構造は、実用上の観点から片端読み出し方式を採用した。前年度と同様、TOF用として優れた性能を有するLYSO及びLFSシンチレータを用いた。層ごとに反射材の挿入位置を変えることによってシンチレーション光を分配することにより、2 mm~4 mm角の結晶で4層DOI結晶ブロックを複数作製した。受光素子としてはTOF性能に特化したSiPMである、コンパクトな浜松ホトニクス製MPPCアレイモジュールを用いた。まず、単一結晶及び1層の結晶アレイを用いて、各MPPCチャンネルのゲインやタイミング等の特性を調べる実験を行った。次に4層DOI結晶ブロックとMPPCアレイモジュールを光学結合することにより検出器プロトタイプを開発した。それらの間に挿入するライトガイドの厚みを変えた検討や、各MPPCの特性の補正法やデータ処理方式を変えた検討を行った。結果、ブロック検出器のプロトタイプにおいても、前年度に行った簡易実験と同様、各層5 mm厚の4層DOI結晶ブロックで500 ps前後のTOF分解能が得られた。しかし2 mm角~3 mm角の結晶を使用した場合に結晶識別能の若干の低下が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発したブロック検出器のプロトタイプにおいても良好な性能が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
結晶識別能の向上に向け、ソフト面・ハード面の双方で受光素子モジュールの改良を行う。また得られた検出器性能をベースに、PET装置性能を予測するモンテカルロシミュレーションを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
提案する検出器構造において良好なDOI分解能とTOF分解能を達成することはできたが、結晶識別能向上に向けた受光素子モジュールの改良に時間を要することがわかったため。またその改良にかかるコストや時間を踏まえたうえで、実験で得られた検出器性能を基にPET装置の性能を予測するシミュレーションを行うかどうかも検討したい。
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