研究課題
本研究では、がん診断や脳機能計測・薬剤開発等で活躍するPET(陽電子断層撮影法)装置の画質(解像度と感度)改善に向けて、ガンマ線飛行時間差(time-of-flight: TOF)計測技術と三次元放射線位置(depth-of-interaction : DOI)計測技術の両立が可能である実用的なPET検出器の開発を進めている。本年度は、両端光読み出し方式において、実用的な検出器構造を模索する実験を行った。前年と同様に、TOF 用シンチレータとして優れた性能を持つ3 mm角のLYSO・LFS シンチレータを用いた。受光素子も同様に、TOF性能に特化したSiPMである浜松ホトニクス製MPPCアレイモジュールを用いた。MPPCの有効受光面サイズは3 x 3 mm2、サブピクセルサイズは75 μmである。シンチレータの長さ(10~20 mm)やDOI分割数(2~6層DOI等)を変えた検討に加えて、表面研磨状態や結晶辺縁材料(反射材の種類や巻き方・挿入方法等)を変えた実験を行った。結果として、DOI分解能3~4mm程度で200 ps台の優れたTOF分解能が得られた。前年度までの結果と、本年度に得られたDOI分解能・TOF分解能を踏まえて、頭部用PET装置を模擬した装置性能を比較するGEANT4モンテカルロシミュレーションを行った。分解能や感度・画質等の評価を行い、従来と比較して優れた性能が得られることを確認した。したがって、本研究で得られたDOI分解能とTOF分解能を両立する検出器を用いることで、PET装置の画質は大きく改善することが分かった。
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