研究課題/領域番号 |
17K18379
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
井元 大輔 科学警察研究所, 法科学第二部, 研究員 (10760902)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 法科学 / 歩容解析 / 輪郭動態トラッキング / 高さ方向の制約条件(高さ制約) / 低フレームレート / 個人識別精度 |
研究実績の概要 |
フレームレートが低い条件の個人識別精度が低下する課題に対し、前年度開発した高さ方向の制約条件(高さ制約)を課した新たな輪郭動態トラッキングに基づくフレーム補間手法の改良を行った(提案手法)。特に、高さ制約は真横方向からの撮影で有効であるが、歩行方向の消失点を無限遠に飛ばす平面射影変換を事前に実施することにより、斜め方向からの撮影にも対応できるように改良した。以上の提案手法を実用を想定した2秒以下の人物シルエット映像に適用したところ、従来の輪郭動態トラッキング手法(流体・細胞などの連続体への適用が有効)よりも圧倒的に精度の高いフレーム補間が可能であることが分かった。さらに個人識別精度の評価についても予備的検討を実施し、提案手法は従来手法やフレーム補間を行わなかった場合と比較して、精度の高い解析ができることが分かった。歩行動作よりも速い動きに関し予備的検討に着手し、今後詳細に検討することで、本手法の適用範囲と限界を明らかにしていく予定である。 以前筆者らが開発した特徴点と形状情報を用いた歩容解析手法(井元ら, 精密工学会誌, 2017)を実空間で5-10度程度撮影角度が異なる人物シルエット映像の比較に適用したところ、横方向及び斜め方向からの撮影条件においては、GEIの比較に基づく従来の歩容解析手法よりも高い解析精度が得られる予備的結果が得られた。 以上、本研究課題に関して、国内学会発表を3件行った。来年度は上記成果をまとめ、国際会議論文を投稿する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り進んでいない部分もあったが、本年度は前年度開発した高さ方向の制約条件を課した輪郭トラッキング手法の改良を行い、当初想定していなかった低フレームレート条件に対して有効性を示すことができ、当初の想定以上の成果を挙げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題で開発した高さ方向の制約条件を課した輪郭トラッキング手法について、本手法の適用範囲を明確にするため、当初想定していた歩行動作よりもより速い動作の映像に対する評価を行い、また、低フレームレート条件における複数のカメラ情報を用いた三次元人体形状復元へ適用した際の有効性について検討する。それらの検討結果を合わせて研究成果まとめ国際会議論文の執筆を着実に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題で開発した輪郭トラッキング技術による人物シルエット映像のフレーム補間について、当初想定していた歩行動作での評価に加え、より速い動作に適用した場合の適用可能性について追加実験と解析を実施し、適用範囲を定量的に明確にする必要があるため、研究期間の延長を行った。次年度の国際会議論文をまとめるにあたり、英文校正費用や関連図書の購入が必要である。
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