研究課題
既存の輪郭動態のトラッキング(レベルセット法、最小二乗基準による方法)は人物映像に適さなかったが、歩行運動において関節点の相対的な高さは大きく変動しないという相対高さ制約の仮定を導入することで、人物映像に適した輪郭動態のトラッキングを新たに開発した(提案手法I)。これにより、シルエット映像のフレーム間の情報欠損を補うことが可能となった。提案手法Iは、ジョギング動作の映像に有効であるのに加え、既存手法と組み合わせることでサッカーのキック動作のようなスポーツ映像の解析にも有効であった。また、提案手法Iは、服装に対する依存性が既存手法よりも圧倒的に低いことが分かった。さらに、低フレームレート条件における歩容解析や3次元人体形状復元への応用においても、前処理として用いることで精度向上が図られることが示された。特に、歩容解析においては、低フレームレートの条件下であっても7.5fps以上であれば実用的な精度での解析が可能となることが示唆された。この高さ制約の仮定は以前研究代表者らが開発した特徴点と動的特徴を用いた歩容解析手法(提案手法II)と整合性が高く、人物映像解析として汎用的な基準であることが示唆された。なお、提案手法Iにおいては、シルエット映像から射影歪みを検出しそれを除去することで、横方向に進行する人物映像だけでなく、斜め方向に進行するの人物映像に対しても精度が保たれる仕組みを導入可能とした。法科学における歩容解析においてはこの射影歪み依存性は同一人の精度維持を阻む致命的な問題であった。この問題の解消に関し、新たに3次元カメラパラメータの校正に基づく手法を検討し(提案手法III)、既存手法や深層学習ベースの手法より精度向上が図られることが分かった。さらに、提案手法IIIによる精度向上の度合いは射影歪みが強いほど大きいことが示唆された。
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ICVISP 2020: Proceedings of the 2020 4th International Conference on Vision, Image and Signal ProcessingDecember 2020
巻: ICVISP2020 ページ: No. 17, pp.1-11
10.1145/3448823.3448835