令和元年度は、走行中の搭乗型移動支援ロボット(以下、PMV)とすれ違う歩行者が感じる危険感について、心拍変動データとヒアリングデータによって計測する実験を行った。実験の分析結果は第60回土木計画学研究発表会にて発表した。実験の結果、心拍変動データの解析からは、PMVが遅い方が危険感が高い、試行回数が後の方が危険感が低いという傾向がみられた。ヒアリングデータからは、PMVの速度が速い方が危険感が高い、PMVと歩行者の離隔が近い方が危険感が高いという傾向が確認できた。PMVの速度について双方で異なる結果となったのは、心拍変動は短時間での刺激では影響を受けにくいため、より長時間の刺激になる速度の遅い方が刺激が大きくなったためだと考えられた。 また、ヒアリングデータの解析からは、離隔が0.6mで、PMV速度が6㎞/hであれば、歩行者は危険を殆ど感じないことが推測された。歩道においてこれを実現するには、少なくとも2.5m以上の有効幅員が必要となるが、今回は20~30歳代の男性のみでの実験結果であるので、女性や高齢者での追加実験で、より広い幅員が必要となる可能性がある。 一方で、PMVの公道走行が認められたとしても、転倒しやすいPMVは障害の多い歩道よりも車道を走行する可能性があることが、過年度の研究により示された。車道での転倒は重大事故につながりやすいので、踏切や片勾配のある箇所等の足場の悪い場所では搭乗しないようにする必要がある。また、トンネル内や夜間でも車両から視認しやすいように、反射式や自発光式の装備を身に着けることが好ましいと考えられた。
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