原因不明の出血熱患者から同定された新規ラブドウイルスであるBas-Congo virus(BASV)は現在まで3人の患者が報告され、2人が死亡した。まだ、ウイルスが分類されていないため、BASVのGタンパク質を外套したpseudotype virusを作製し、実験に用いた。2018年度までは1) BASVの宿主域が広いこと、2) G蛋白質による膜融合能が低pH処理により誘導されること、3) pH依存性に細胞内へ侵入すること、4) 細胞によりBASVの細胞内侵入経路が異なること、5) BASVpvの感染には細胞の糖鎖が関与する可能性があることが分かった。 2019年度はviral overlay protein binding assay (VOPBA)手法により、BASVの受容体検索を試みた。BASVpvに最も感受性が高いHuh7細胞膜から蛋白質を精製し、BASVpvを反応させ、結合する蛋白質をimmunoblotにより、35kDa弱のバンドが確認された。その陽性バンドをゲルから切り取り、質量分析により同定を行った。その機能については現在検索中である。一方、細胞内侵入経路の結果やVSVと類似したウイルス学的性状を有することから、細胞膜のlipid raftにも注目し、上記と同様の手法で試みたが、陽性バンドは確認されなかった。理由としてはBASVpvとlipid raftの結合力が弱い可能性、lipid raft関連蛋白質非依存性である可能性が考えられた。
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