研究課題/領域番号 |
17K18389
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
小手森 綾香 国立研究開発法人国立がん研究センター, 社会と健康研究センター, 研究員 (70701233)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 栄養疫学 / 炎症 / 妥当性 / 食事記録 / 食物摂取頻度調査 / バイオマーカー / 高感度CRP / インターロイキン-6 |
研究実績の概要 |
生体内の慢性的な炎症は、がん細胞の発生や増殖に関わる。食事は炎症状態に関わる要因の一つであるが、食事には炎症を抑制する成分と促進する成分が含まれるため、食事が炎症に与える影響は総合的に評価する必要がある。近年、その総合的評価の指標として、Dietary Inflammatory Index (DII)が国際的に使われており、疾病との関連が報告されている。しかし、食生活が欧米と異なる日本からの報告はない。さらに、近年日本で罹患が増加している大腸がんも炎症がリスクとなるが、特定の食品の予防効果では統一した見解が得られていない。本研究では、日本人を対象とした大規模前向きコホート研究(JPHC研究)により食物摂取頻度調査票(FFQ)を用いて評価したDIIの妥当性を検討し(研究①)、DIIと大腸がんの関連を検討する(研究②)ことを目的としている。 本年度は、研究①実施のため、食事の妥当性研究対象者565名の食事記録(DR)、FFQ、血液を用いて、DII妥当性検証用データセットを作成した。FFQおよびDRを用いたDIIの計算には、米国ノースカロライナ大学の協力を得た。さらに、血中炎症マーカーであるインターロイキン-6(IL-6)を測定した。これらのデータと、既に測定済みの炎症マーカーであるCRPのデータを統合して、DII妥当性検証用データセットとした。妥当性の検討では、FFQとDRそれぞれから計算したDIIの順位相関およびそれをカテゴリー化した場合の一致率(κ係数)を検討し、DIIと炎症マーカーの関連を重回帰分析により検討した。 男女ともに、DII同士の相関係数は中程度であり、κ係数は0.80を超えた。さらに、DIIと炎症マーカーの関連は、男性においてのみIL-6と正の関連が観察された。女性においては、CRP、IL-6ともにDIIとの関連はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度は、妥当性検証用データセットの作成、血中IL-6濃度の分析、DIIとCRPの関連の検討までを予定していたが、次年度に予定していたDIIとIL-6の関連まで統計解析を終了し、論文投稿の準備が整った状態であり、当初の計画以上に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究①について、FFQによるDII評価の妥当性の論文化を行う。さらに、研究②について、大規模コホート解析用データセットの整備(FFQからDIIを計算し、ハザード比算出)を行い、DIIと大腸がんリスクの関連解析を行う。
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