• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2017 年度 実施状況報告書

スピンドル波発生とその生理的意義

研究課題

研究課題/領域番号 17K18395
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

三輪 秀樹  公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, 研究員 (80468488)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワードスピンドル波 / 視床網様核 / GABA / 統合失調症
研究実績の概要

統合失調症患者において、睡眠障害との関連性が、高い再現性で報告されている。その中でも、ノンレム睡眠中に観察されるスピンドル波発生の著しい異常が観察されている。本研究では、スピンドル波発生の生理的意義を明らかにするために、スピンドル波発生に重要な役割を果たしていると考えられている視床網様核(TRN;主にGABA作動性ニューロンを含む神経核である)に着目し、その機能異常を人工的に誘導するため、GAD67(GABA合成酵素の一つ)floxマウスに、AAV-CreGFPを定位固定下で注入し、TRN限局的にGAD67遺伝子欠損マウスを作成することで、そのスピンドル波発生の異常やそれに伴う睡眠障害、注意障害、睡眠依存性記憶固定異常などを含むスピンドル波発生の生理的意義を明らかにしようとしている。まずは、AAV-CreGFPをTRNに注入後、どのような時間経過で、CreGFPが発現し、GAD67遺伝子が欠損していくのかを免疫組織化学的手法を用いて調べた。その結果、注入4週間後で、GFP陽性シグナルが観察されたTRN領域に存在する約90%のニューロンがGFP陽性ニューロンであり、GAD67陽性シグナルもコントロール群(生理食塩水投与)の約20%まで減弱し、GAD67遺伝子を効率よく欠損することができた。この結果をもとに、AAV-CreGFPをGAD67 floxマウスのTRNに注入し、EEG/EMGを測定した結果、注入4週間後ノンレム睡眠時のスピンドル波密度(個/min)を計測したところ、野生型では5.9(個/min)ミュータントマウスでは5.2(個/min)となり、有意な減少を観察することができた。以上から、統合失調症患者に見られるスピンドル波減少がTRN限局的GAD67欠損マウスでも観察されたことから、統合失調症GABA仮説を支持する結果を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

定位固定下でのAAVベクターの注入位置を確定でき、CreGFPの発現も良好であったことから、予想以上の割合で視床網様核のニューロンにCreGFPを発現し、GAD67遺伝子を欠損することができたため、特に実験手法の改良を試みる必要がなく、計画通りに実験を遂行できている。

今後の研究の推進方策

研究実施1年目を終えた時点で、研究計画のほぼ8割がたを遂行できている。近日中に、国際的学術雑誌に成果を投稿し、報告する予定である。このように、スピンドル波発生を検出する計測するシステムを確立できたので、共同研究を通して、様々な統合失調症モデルマウスや睡眠障害マウスに対して、この計測システムを応用することで、スピンドル波発生の生理的意義を評価していきたいと考えている。実際、すでにそのような共同研究を開始したところである。また、研究遂行時に、新たな計画も考案できているので、そのための予備実験なども行っていく。

次年度使用額が生じた理由

研究計画ではもう少しウィルスベクター注入に時間がかかると予想し、消耗品代を多く算出していたが、最低限の時間と予算で最適な実験条件にたどり着くことができ、出費を抑えることができた。この分を次年度の使用額に回すこととした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)

  • [国際共同研究] Harvard medical school/VA Boston Healthcare System(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Harvard medical school/VA Boston Healthcare System
  • [学会発表] Roles of GAD67 in the thalamic reticular nucleus for regulating sleep spindle generation2017

    • 著者名/発表者名
      Hideki Miwa, Radhika Basheer, James T. McKenna, James M. McNally, Robert W. McCarley, Ritchie E Brown
    • 学会等名
      SLEEP 2017: 31st Annual Meeting of the Associated Professional Sleep Societies
    • 国際学会
  • [学会発表] Effect of GAD67 deletion in the thalamic reticular nucleus on sleep spindle regulating activity.2017

    • 著者名/発表者名
      Hideki Miwa, Radhika Basheer, Hanan Bouaouda, David S. Uygun, James T. McKenna, James M. McNally, Robert W. McCarley, Ritchie E. Brown
    • 学会等名
      The 47th Annual Meeting of the Society for Neuroscience
    • 国際学会
  • [学会発表] 睡眠スピンドル波発生制御における視床網様核のGAD67遺伝子の役割2017

    • 著者名/発表者名
      Hideki Miwa, Radhika Basheer, Hanan Bouaouda, David S. Uygun, James T. McKenna, James M. McNally, Robert W. McCarley, Ritchie E. Brown
    • 学会等名
      Neuroscience2017(第40回日本神経科学大会)
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi