研究課題/領域番号 |
17K18396
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
堀田 昌利 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 放射線核医学科 医師 (30782932)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | PET/CT / 4DST / FDG / 食道癌 |
研究実績の概要 |
がん細胞の最大の特徴は細胞増殖能の異常亢進である。近年、DNA合成能を反映する新しい分子イメージング製剤「4DST」が本邦で開発された。一方、現在普及している分子イメージング製剤は糖代謝を利用したFDGである。私たちは、肺癌・腎細胞癌・頭頚部癌・多発性骨髄腫などの悪性腫瘍において、4DSTはFDGよりも鋭敏に腫瘍増殖能を反映することを見いだしている。本研究ではこれまでの成果を発展させ、食道癌を対象に、4DST-PETの有用性を検討することであった。 平成30年度は、生検により病理診断されている食道癌患者の登録数をさらに増加させ、これら症例に対して4DST-PET撮影を行った。また、画像解析ツールを用いて、4DST-PETの画像解析を定量的解析を中心に行い、その成果を論文報告した(Hotta M, et al. Efficacy of 4'-[methyl-11C] thiothymidine PET/CT before and after neoadjuvant therapy for predicting therapeutic responses in patients with esophageal cancer: a pilot study. EJNMMI Res. 2019 Jan 30;9(1):10.)。具体的な内容としては、食道癌の術前療法(ネオアジュバント療法)への反応性を予測するのに治療前後でのFDGと4DSTの集積とその変化率を比較した。その結果、いずれの薬剤も予測に有効であったが、4DSTのほうがFDGよりもわずかに優れている可能性が示された。正確な治療効果判定は、それぞれの患者に応じた個別の治療を行ううえで必要不可欠であり、これらの情報に基づき患者ごとに適切な治療が行われれば予後の改善が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期登録症例を中心に解析を行い、その結果をpilot studyとして論文報告した。
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今後の研究の推進方策 |
解析手法を工夫し、腫瘍のより細かな性状を反映するといわれているテクスチャー解析(ラジオミクス)を行うことで、4DSTのさらなるポテンシャルを評価する。 また、食道癌症例を経時的にフォローすることで、予後解析(生存解析)を行い、4DSTの予後予測能の詳細評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加時の早期登録などによる経費節約等により次年度使用金が生じた。 来年度は国内・国外学会参加、設備備品費、消耗品費、その他(論文投稿費用等)への使用を予定している。
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