海底地すべりは陸上のものと比べ大規模で,油ガス田などの海上設備の破壊や津波を引き起こすことから,社会経済に少なからぬ打撃を与える.その直接的な発生要因と共に,長期的な条件として土砂の堆積速度や構造運動による斜面傾動の影響が重要視されている.南関東の前弧海盆堆積物は第四紀の高精度な年代指標を用いて不整合や海底地すべりの形成年代を制約出来ることに加えて,こうした長期的な発生要因を理解するための地質学的検討が可能である.研究の結果,海底地すべりの特徴や海盆発達との関係を地質学的証拠に基づいて理解し,活動的な前弧域における海底斜面の長期的な安定性を理解する上で意義ある成果が得られた.
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