研究課題/領域番号 |
17K18417
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
安永 茉由 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70712181)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 骨芽細胞 / MSC / 低栄養 |
研究実績の概要 |
当該研究領域においてこれまでに多くのグループにより動物モデルが開発されてきたが、動物種や制限給餌量、その実施期間等が異なる事で表現型が大きく変化することが明らかにされていた。劇的な変化を生じる発生期において、様々な環境要因は大きく影響すると考えられ、動物モデルを使用した実験のみではその分子メカニズムの解明は困難であると考えた。そこでモデルの簡素化を目的にin vitroでの胎児期低栄養モデルの樹立を試みることにした。 使用した細胞はラット骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)で、骨芽細胞へ分化誘導する期間の培地組成を変えることで、骨形成における胎児期低栄養モデルの作出を試みることとした。まずラット骨髄よりMSCを単離し、1週間培養した後、接着した細胞を用いて、骨芽細胞への分化誘導を行った。そしてMSCの骨芽細胞への分化能を評価するため、分化誘導3週間後に細胞およびその培養上清を回収し、骨芽細胞の分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)活性およびオステオカルシン量の定量を行った。その結果、分化誘導しなかったコントロールと比較して、細胞内において約5.4倍のALP活性の増加が観察された。また培養上清中に分泌されたオステオカルシンは、骨基質への結合能を有するγ-カルボキシグルタミン酸(Gla)化されたものとされていないGlu型とを区別し定量した。その結果、Gla型は34倍、Glu型は10.9倍の増加が観察できた。以上より、単離したMSCは骨芽細胞へ分化誘導可能であることが明らかにされ、MSCの骨芽細胞への分化誘導系およびその評価方法の確立に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は動物モデルだけでは分子メカニズムの解明に至らないと判断し、新たにin vitroでの胎児期低栄養モデルの樹立を追加した。そのため、やや遅れることになったが、ラット骨髄由来間葉系幹細胞を用いた骨芽細胞分化誘導系の確立に成功し、今後、確率した系をもとに培地組成を変えることによって、低栄養モデルの作出が可能であると考えられ、メカニズム解明に向け円滑に実験が遂行できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
まず樹立したMSCの骨芽細胞への分化誘導系をもとに培地組成を変えることによって、骨形成における低栄養モデルの作出を試みる。その後、既知の骨形成遺伝子、特にオステオカルシンなど膵臓との臓器間相互作用に関わる遺伝子群を優先し、発現変化を解析する。さらにその発現変化のあった遺伝子について、エピジェネティックな発現制御との関連性について検証する予定である。これにより胎児期低栄養による骨形成不良の分子メカニズムの一端を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度は動物モデルだけでなくin vitroモデルを加えて検証を行うため。 大型備品購入の予定はなく、実験動物、in vitroでの骨芽細胞への分化誘導等に必要な消耗品を中心に使用することを予定している。また論文作成のための英文校正費や学会発表時の旅費に充てる予定である。
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