研究課題
膵ラ島b細胞におけるアルギニンの詳細な機能を解析するため、アルギニンを固定化した独自のナノビーズを開発し、インスリン分泌細胞抽出液から新規アルギニン標的因子としてA/PBP (Arginine/Proinsulin-Binding Protein)を世界に先駆けて同定した。A/PBPの詳細な機能を明らかにするためこれまでに、bCGFを含め、これに関連する相互作用因について分子生物学的に解析を行ってきた。最終年度においてはグルコースにリン酸を修飾するグルコース刺激インスリン分泌の主要な標的であるグルコキナーゼ(GK)を中心にプロジェクトを進め、家族性若年糖尿病(MODY2)においてアルギニンがGK酵素活性に対してインスリン分泌にどのように寄与するのかその一端を明らかにした。本研究期間を通して、膵b細胞の自己増殖を促すメカニズムと併せてアルギニンによる新規の分泌機構を明らかにしたことは、現行の対症療法から、糖尿病病態の改善、さらには、根本的治療が可能な新薬の開発につながる可能性を秘めており、糖尿病治療において大きな意義を有する。糖尿病研究業界においてもまだ認知の低いA/PBPやbCGFについて新たな知見を提供することは、当該研究分野の視野を広げ、まだ未開拓な研究を展開させ得るという点で非常に重要であり、大きなインパクトがある。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
Nature Communications
巻: 11 ページ: 1631
10.1038/s41467-020-15409-3
Clinical and Experimental Gastroenterology
巻: Volume 12 ページ: 331~336
10.2147/CEG.S214196