研究課題/領域番号 |
17K18445
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中谷 英仁 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (80627670)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | グラフ表現図 / 構造化モデル / アンサ ンブル学習 / 樹木モデル |
研究実績の概要 |
疾患の臨床経過は多様性に富んでおり一概に把握するのは困難である。そのため臨床経過を正しく示す臨床イベント間の順序性と関連性を加味した、グラフ表現モデルには高い臨床的な需要がある。しかしながら、現在まで直接的な統計学的アプローチ法は開発されてこなかった。このモデルが開発及び活用されれば、診療における治療の戦略や原因論的な研究の推進に深く寄与すると考えられる。平成29年度は、生存時間解析における予測因子の解析手法およびイベント発現順序を推測できる解析手法の整理を行い、それぞれの手法と本研究の目的との乖離を整理した。一方で、これら手法を包括的に盛り込む構造化モデルを推定することに着手した。その中でわずかなデータ摂動により劇的に構造化モデルが変化してしまうこと(安定性)が課題となったため、本研究にアンサンブル学習の考えを取り入れた。アンサンブル学習とは、訓練(複製)データから弱学習モデルを多数生成し、それらで生成される多数の予測値候補を統合することで、予測性能を強化させる手法である(Bagging、Boosting、Random Forrest等)。このようなアンサンブル学習手法では弱学習モデルを縮約する際に、アンサンブルの理解性(comprehensibility)が欠如する。その理解性の保持するために、簡単な構造化モデルである樹木モデルを例に、複数モデルを単一モデルへと縮小する方法論の検討を行った。これは弱学習モデルかもしれない構造化モデルを、理解性を保持しつつ強い頑健なモデルを構築するのに役立つはずである。その他、上記の研究に関連して、臨床データでの予測モデル構築を安定性に注視しつつ実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
自身の異動のため本研究の進捗はやや遅れていると考える。しかしながら医学統計学の方法論研究に時間を使える大学ポストに異動できたため、今後研究を加速できると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、樹木モデルで検討したアンサンブルによる単一樹木モデルの構築法を論文化する。また、臨床イベント間の順序性や関連性を示す構造化モデルの作成に着手する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
大学への異動などにより、本研究に十分な時間を割くことが困難な状況となったため、次年度使用額が生じた。今後学会出張などで最新の情報を収集し、研究の推進を行う。
|