研究課題/領域番号 |
17K18447
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
MARES Emmanuel 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 文化遺産部, アソシエイトフェロー (90791129)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日本庭園史 / 森蘊 / 昭和期 / 復原整備 / 作庭 / 保存活用 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本庭園史家であり、また作庭家でもあった森蘊(もり・おさむ、1905-1988)の業績を再評価すると同時に、昭和期の日本庭園史学の構築を再考することである。奈良文化財研究所に保管されている多くの資料(図面・スケッチ・写真・原稿・書簡など)の整理を進めながら、庭園の現況調査や、森と一緒に働いた職人の聞き取り調査を通して考察を深める。 初年度にあたる2017年度は、歴史的な庭園、とりわけ森が関わった復原整備事業に関する資料の整理をはじめ、7月23日に開催された『「復元学」の提唱 ―考証から復元へ―』で「森蘊による歴史的な庭園の復原的研究」というタイトルで、その成果を発表した。 森の作庭活動については、奈良文化財研究所と奈良市の連携研究として進められている「奈良市における庭園の悉皆的調査」の一環として、森蘊が奈良市内に作庭した27庭園の中から16庭園に関して現地調査や聞き取り調査を実施し、調書をまとめた。その中で、森と一緒に働いた庭師、古川三盛氏と牧岡一生氏のインタビューを実施し、記録映像も撮影した。古川氏のインタビューは、大阪府河内長野市の延命寺庭園と、奈良県郡山市の矢田寺大門坊茶室露地で行った。牧岡氏のインタビューは、奈良県橿原市の橿原神宮文華殿庭園と森蘊庭園研究室(森蘊旧宅)で行った。その際に、森蘊筆の図面や手帳など、未発表の資料を発見し、スキャンや撮影などによって、電子データとして保存した。 さらに、南九州大学環境園芸学部の牧田直子専任講師と学生と共に、福岡県久留米市等に残る遍照院庭園(森蘊作)の現地調査を行った。管理者の聞き取り調査や、奈良文化財研究所に保管されている古写真や図面などと見比べながら、保存活用の現状と課題について議論をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、当初予定していた歴史的な庭園の図面の整理と選別は予想以上に困難な作業であり、必ずしも計画どおりではない。しかし一方で、森蘊の歴史的な庭園の「復原的研究」について研究発表ができたことと、庭園の現地・現況調査は予定よりも多くできたことと、さらに2年目から開始する予定であった職人の聞き取り調査と映像記録ができたことから、おおむね順調と評価できよう。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は引き続き、森蘊と一緒に働いた職人の聞き取り調査を継続し、記録映像を撮影する。また、『奈良市における庭園の悉皆的調査』(仮)の報告書は1年遅れて、2018年度末に発行することになったが、研究代表者は「奈良市における森蘊の作庭活動」というテーマで執筆し、研究成果を発表する予定である。さらに、協力者などを集めて研究会を開催する計画がある。そこで、森蘊の業績と昭和期における日本庭園史学について議論を進め、考察を深めていく。
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