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2017 年度 実施状況報告書

胎生サメ類の人工子宮プロジュクト:人工卵殻膜を用いた保育システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K18451
研究機関一般財団法人沖縄美ら島財団(総合研究センター)

研究代表者

冨田 武照  一般財団法人沖縄美ら島財団(総合研究センター), 総合研究センター 動物研究室, 研究員(専門) (90774399)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2019-03-31
キーワード卵殻 / 半透膜
研究実績の概要

沖縄美ら海水族館で飼育されていたイタチザメの出産イベントを詳細に観察した結果、出産直前まで胎仔が卵殻でくるまれていることが確かめられた。これは、本研究の前提である、イタチザメの胎仔が妊娠期間を通して卵殻の中で過ごすことを証明するものである。
石垣島で調査を行い、イタチザメの卵殻サンプル、および卵殻内の液体のサンプルを取得した。イタチザメの液体サンプルの分析を行った結果、内容成分は低分子の物質に限られており、高分子のタンパク質や脂質などは極めて限られていることが分かった。さらに、比較のために気仙沼漁協でネズミザメの調査を行い、子宮内の液体のサンプルを取得した。ネズミザメの卵殻サンプルは取得できなかった。
卵殻の半透膜としての機能を明らかにするために、分画分子量の推定を行った。具体的には、吸引ろ過装置を改良することにより、イタチザメの卵殻の分画分子量を推定する実験系を構築し、分子量の既知の物質(たとえば食塩、グルコース、アルブミンなど)が膜を透過したときの遮断率の測定を行った。その結果、物質の分子量により遮断率が20-70%ほど変動することが明らかとなった。分画分子量を確定させるために、さらに多くの物質を用いた実験を現在も継続中である。
さらに、卵殻の構造を視覚的に解明するために、イタチザメの卵殻の表面および断面の構造を走査型および透過型電子顕微鏡で観察した結果、膜の表面には高密度の孔状の構造があること、膜が最低でも二層構造をもち、裏表があることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

卵殻のサンプルは十分量取得できたものの、分画分子量の推定するための実験系の立ち上げに当初想定したより時間を要したため、実験の進捗がやや遅れている。さらに、卵殻の構造についても、当初の想定より複雑であるため、実体の解明にはまだ時間を要する。

今後の研究の推進方策

卵角膜の分画分子量の推定のための実験を最優先事項として取り組む。具体的には、さらに多種の物質の透過実験を行うことで、さらなる分画分子量の絞り込みを行い、人工子宮の作成に適切な人工ろ過膜の選定を行う。
卵殻の構造については、金コロイドを透過させたのち、断面構造の透過型電子顕微鏡観察を行うことで、内部構造の可視化を行う予定である。
さらに、夏から秋にかけて、人工ろ過膜で作成した袋の中で胎仔の飼育実験を行い、生存日数について調査する予定である。

次年度使用額が生じた理由

卵殻膜の分画分子量を決定するための膜透過実験系の立ち上げに予定外に時間がかかったため、実験計画に遅れが生じている。そのため、当初予定していた膜透過後の基準物質の溶液濃度を測定を分析会社に委託する費用が現時点使われていない状況にある。
そこで、次年度は当該年度に終了できなかったイタチザメの卵殻膜の分画分子量の決定を行うために、溶液濃度の測定を委託する費用として用いるほか、追加の実験で用いる分画分子量を決定するための基準物質の購入に充てることを予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Captive birth of tiger shark (Galeocerdo cuvier) reveals a shift in respiratory mode during parturion2018

    • 著者名/発表者名
      Taketeru Tomita, Hideyuki Touma, Kiyomi Murakumo, Makio Yanagisawa, Nagisa Yano, Shin-ichiro Oka, Kei Miyamoto, Nozomi Hanahara, and Keiichi Sato
    • 雑誌名

      Copeia

      巻: 106 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1643/CI-17-683

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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