研究課題/領域番号 |
17K18459
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
須川 亜紀子 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90408980)
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研究分担者 |
清水 知子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00334847)
田中 東子 大妻女子大学, 文学部, 教授 (40339619)
岩下 朋世 相模女子大学, 学芸学部, 准教授 (70533818)
川村 覚文 関東学院大学, 人間共生学部, 講師 (30713169)
筒井 晴香 玉川大学, 教育学部, 非常勤講師 (90760489)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | 2.5次元 / ファン研究 / ファンダム / コミュニケーション / ポップカルチャー / ジェンダー / メディアミックス / 国際理解 |
研究実績の概要 |
2019年度は、代表者須川、分担者田中がウェブアンケートのデータのまとめ、個別インタビュー、文字起こし、分析を行った。また、2.5次元文化の事例として、各メンバーが2.5次元舞台、展覧会、ライブステージなどを調査した。 具体的には、須川、筒井が、2.5次元舞台との比較検討として、マンガ原作の歌舞伎「NARUTO」、アニメ原作の「サイコパス」、「少女革命ウテナ」など、また、舞台からマンガ、アニメへ展開する逆2.5次元といわれる「錆色のアーマ」などを調査し、観客の取材を行った。展覧会では、昨今「参加型」が主流となっており、2.5次元文化におけるオーディエンス/ファンの関与が、展覧会でもどのように参加がうながされ、それが2次元の作品を「リアル」と認識させることにどうつながるのかを調査した。ライブステージとしては、ラップ音楽とキャラクターイメージのみで始まったプロジェクト「ヒプノシスマイク」の舞台を調査、取材した。これらの調査、取材において、まずパフォーマー(俳優、コスプレイヤー、歌手など)の身体を「2.5次元」として本当に認識されているのかどうか、認識されているとしたらどのようになされているのか、また認識する契機としない契機にはどのようなメカニズムがあるのか、について各論点が明らかになり、また分析結果が各メンバーによってまとめられた。須川は、英語の論文2編を共著として2冊書籍出版した。筒井は、雑誌「ユリイカ」に論文1編を掲載した。岩下は一般向け解説として、J-WAVEにラジオ出演した。須川が編集したアニメーション文化に関する共著に、清水が論考を数点寄稿した。
成果発表として、2020年2月に学会を開催する予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大のため、延期した。成果発表と論文出版は、2020年度に持ち越しとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は前年度政情不安でできなかった香港や韓国での海外調査を行う予定であったが、さらに政情が悪化し延期となった。また、成果発表として2020年2月に学会を開催予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大が始まったため、延期せざるを得なかった。この計画については2020年度に実行予定である。
しかしながら、各自研究のとりまとめ、学会発表の準備、論文・書籍の出版は行っており、2019年度の予定は、2020年度に延期したためその分の遅れはあるが全体の計画からみるとおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染拡大の収束がまだ不透明であるが、2019年度計画していた香港、韓国での調査を実施する。同じく、英語圏のファンへのオンラインインタビューも行う。2020年2月に開催予定であった成果発表としての学会を開催する(オンラインでの開催も検討中)。
また、このプロジェクトをベースに、2.5次元現象の多領域での応用に向けて、さらなる深度をもった継続プロジェクト開始に向けた計画を考える。特に、新型コロナウィルス感染拡大によって、人と人との接触が自粛されたことにより、オンラインでのコミュニケーションがより活発になった。例として、VRチャットなどの活用が急激に進み、またアバターを使用したサイバー世界での交流(例えば、「あつまれどうぶつの森」)も盛んになった。こうしたことが2.5次元文化、特にわれわれのコミュニケーション様態、およびプロジェクトの核である「嗜好の共同体」構築に、大きな変化をもたらしている事例が散見されている。そうした事例を収集、データ化し、これまでの研究と比較することで、いかなる変化をがもたらされているのかについて、今後も調査を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、2020年2月に予定していた学会を延期した。また、それにより、成果の出版計画も延期したため、次年度に使用額が生じた。
2020年度は、延期された学会の開催用経費(会場費、交通費、通信費)、出版経費(著作権使用料など)に充てる。
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