研究課題
本研究が当初掲げた目的は、「創造性に根幹を持つ意識の理論を、芸術作品の分析と実装を通して、哲学的に明らかにし、「創造性とは何か」という問いに、終止符を打つこと」であった。この目的のために、藝術作品に認められる、受動的能動、能動的受動の関係を詳細に評価・吟味し、作品全体に通底する、受動・能動の不断の交錯・転倒の構造を解読することで、郡司が推論モデルから抽象される予察的モデルを提案し、中村・郡司で作品分析を進めることが計画された。この計画は、当初の予定以上の成果をあげたと言える。創造性に根幹をもつ意識の理論は、現代芸術家マルセル・デュシャンにおける「芸術係数」に範を求めながら、創造性に根幹を持つ意識=認知のモデル、「天然知能」として実装された。「天然知能」は、与えられる刺激=問題と、それに対する認知=解答との関係を解体し、受動的であるはずの問題と、能動的であるはずの解答を、より不分明でありながら懐疑する、能動的受動を担う問題、受動的能動を担う解答という二者に置き換え、両者の動的連鎖によって、外部を受け入れる装置として、定義された。それは創造を、わたしの内部ではなく、徹底して受動的なわたしが外部に求め、その構えを技術=業として構想することだった。これは一般書『天然知能』(講談社)として著され、その認知におけるモデルは英語専門雑誌で発表された。「天然知能」の芸術作品における分析は、既存の作品の分析ではなく、むしろ「天然知能」を基礎に中村が絵画作品を制作する形で進められた。この経過と作品分析は『TANKURI:創造性を撃つ』(水声社)によっても発表された。すなわち、創造=意識の理論と実践は、「天然知能」の実装形式と日本画的実践によって完成したのである。
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