本研究では日本の屏風絵作品について、「紙の規格」という観点からその表現・技法についての考察を行った。国内外の中・近世屏風絵作品について調査および情報収集を通して、屏風には竹紙と雁皮紙が用いられていることが多く、水墨画や中国の画題は竹紙に、やまと絵や金地着彩の作品は雁皮紙に描かれることが多いという傾向を明らかにした。また中世には1枚の紙の大きさが比較的小さく、高さ150cm程度の屏風の1扇(1パネル)を縦5段ほどで貼り継いだ作品が多いが、江戸時代後期には、1扇を1枚の紙で貼るような、大きな紙を用いた作品が現れてくる。製紙技術や流通の発展と、表現技術の多様性が連鎖していることを明らかにした。
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