現在日本の女性メディアにおいてみられる「パリジェンヌ幻想」について、それがどのように形成されたのかを、歴史社会学的に分析した。明治、大正期において男性作家によって描写さていたパリジェンヌイメージ形成の担い手が女性へ受け渡されたのは戦後であった。それには、近年ファッション史において位置づけられるようになった洋裁文化の存在が大きな役割を果たしていたことがわかった。パリモードを頂点とする洋裁学校に通う女性たちは、高価で買うことのできないパリモードを、自分たちの体型に沿うよう翻案しながら衣服を制作した。女性たちはミシンを踏みながらパリジェンヌへの憧れを身体化させていったことが明らかになった。
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