研究実績の概要 |
本研究の成果として2019年「京の工芸ものがたり2」を出版した。京都を中心として伝統工房へのインタビュー調査により、多くの職人から「言葉が一番先になくなり、次に道具がなくなり、技が消える」という言葉を聞いた。現代、伝統工芸品を使用することが非常に少なくなり、生産高は大幅に減少し、仕事を続けている職人は多く高齢である。「工芸」には技の継承のために使われる用語があるが、こういった工房内でしか使われない言葉は消えゆく一方である。この用語については各工房を訪問して、フィールドワークをして言葉を収集し、その言葉が指す動作やモノを映像や写真で残し、意味を記述する必要があったためだ。また、職人の高齢化がすすむ中、写真や映像とともなったデータベースの作成し(内の言葉の問題)、論文を3本(「共在感覚の時空間」、「工芸という文化―自然とモノからの情報の受容」、「詠嘆の「も」と挨拶語 日本語の共在感覚」発表した。また若い世代の人が伝統工芸品の名前すらわからない状況は、伝統的な日本の地方文化を伝えられないことを意味すると考え、写真付きの一般的な辞書が必要と考えた(外の言葉の問題)。そして本研究の成果として、2018年小学館から英語と日本語のバイリンガルで、“JAPANESE CRAFTSMANSHIP” 『工芸バイリンガルガイド』を出版し、日本語がわからない人のためにも成果を発表した。また研究成果を発信するために、海外での講演を活発に行った・2018年3月8日国立台湾大学芸術史研究所主催の国際学術会議で「茶の湯と共在感覚」、2019年3月25日フランスUniversité Jean Moulin Lyon III,において「工芸という文化」を講演、2019年8月7日ペルーのリマの日秘文化会館にて、「工芸 ー日本の手仕事から見た文化」を講演し、「ペルー新報」の一面でカラーで報道された。
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