研究実績の概要 |
今年度は以下の研究を実施した。(1) 国際学会発表のため名古屋大学で研究打ち合わせ,学会後の研究計画検討を行った。(2) アニメDVDの女性声優の声の音響分析(音響特徴量の抽出)を行った。また声優以外の声との比較ため「日本語話し言葉コーパス」の一般女性の声質との比較検討を行った。その結果,両者の間には,pitch, spectral slope, alpha ratio, HNR,などのパラメータにおいて差が見られた。(3) 太田純貴(2019)を元に,声優,アニメ,ファンを軸としてアニメの声を社会文化的制度として捉えるための枠組みの検討を行った。(4) (1)から(3)の成果を, 2019年7月に8th International Language in the Media Conference (リオデジャネイロ)および8月にICPhS 2019 (メルボルン)で発表を行った。(5) MIKU EXPO 2020(アムステルダム)を調査し、声・音と視覚イメージの対応関係を実際の受容のあり方を観察しつつ、検討した。また、アルス・エレクトロニカ(2019年9月リンツ)とトランス・メディアーレ(2020年1月ベルリン)において、声の(非)人間性、音や声の受容を支える環境、聴覚イメージの視覚化などについて調査した。(6) 声と視覚イメージの関連を指摘した、フランク・ケスラーらのマジックランタンを使った美術史のレクチャーの論文を翻訳した(学術誌に掲載決定)。(7) 声優養成コースの大学生の協力を得て,朗読やアフレコなどの音声データを収録。アニメ声と普通の声について(2)と同様の手法で分析を行った。また,アニメ声の音響的特徴をより明確にするため,比較対象とする一般人の朗読データの収集を開始した。結果はEAJS2020(ベルギー)で発表予定(採択済み)。
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