研究課題/領域番号 |
17K18495
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
赤間 亮 立命館大学, 文学部, 教授 (70212412)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | くずし字 / 古典籍 / 翻刻 / オンライン研究会 |
研究実績の概要 |
1,アート・リサーチセンターの古典籍閲覧システムに組込んだ本文閲覧システムを基盤にした翻刻本文アーカイブシステムを開発した。パソコン画面上で、縦書き編集ができ、画像上でのマウスを使わずにウィンドウ位置を自由に変更できる機能、ならびに文脈付き語彙検索システムを加えることにより、効率のよい翻刻作業が可能となった。 2,解読文字の候補を引出す翻刻支援システムについては、凸版印刷株式会社との共同研究を開始したが、凸版印刷側の開発の遅れにより、12月導入の予定が、年度内に間に合わない事態となり、実証実験は次年度に持越すこととなった。 3,一方で、同様の手法で、新しい翻刻環境を提案してる「みんなで翻刻」プロジェクトとの連携を開始し、一般ユーザー向けに、文化芸術分野の古典籍について「みんなで翻刻」システムを導入できないか協議を開始した。 4,著作権の消滅している古典籍の活字テキストについては、有朋堂文庫についてOCR取り込みを行い、全文テキストを作成中である。 5,上記2の理由により、研究活動の大幅な遅れが生じたため、海外の組織へのシステム活用慫慂のため、以下の大学との連携活動を重点的に実施した。ドイツ・ベルリン自由大学については、ドレスデン州立博物館の美術系古典籍を対象とした翻刻ワークショップの可能性、スイス・チューリッヒ大学では、リートベルグ博物館の古典籍、ベルギー・ルーヴェン大学では、王立歴史美術館の古典籍、オランダ・ライデン大学では、東アジア図書館・ライデン民族学博物館・Nihon no Hanga 美術館とが一体となった共同研究についての打合せとシステムの説明、素材のアーカイブを実施した。米国では、カリフォルニは大学バークレー校日本学専攻、ならびに東アジア図書館と共同で、翻刻ワークショップを実施し、来年度以降の継続的なオンライン研究会の実施について合意を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1,翻刻支援システムについては12月導入の予定であったが、システム開発の遅れにより、年度内の組込みができておらず、ほぼ半年の遅れが生じている。 2,語彙へのアノテーションシステムについては、語彙の位置を文字数によって特定するシステムから、章節毎に特定するシステムへの転換を行っているため、実証実験段階に入らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
遅れの最大の理由である翻刻支援システム開発の遅れについては、開発担当会社から6月中の導入を約束されており、内部検証の上、7月には実証実験が開始できる予定である。この実証実験により、さまざまな事例への対応が可能となり、来年度以降は、順調な進捗が約束できる。 また、アノテーションシステムについても、平成30年度前期での実装がほぼみえてきている。 なお、「みんなで翻刻」プロジェクトの連携は、本研究課題にとって一般ユーザーへの翻刻活動の解放が可能となるため、実現していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に海外調査・打合わせを行ったが、会計事務処理の都合上、次年度での会計処理となったため。また、翻刻支援システムの開発の遅れにより、実証実験ならびにワークショップが実施できなかったため。 平成30年度4月段階で、システムの進捗の情報交換ができており、かつ5月には導入のための打合わせ日時も決まっているため、7月にシステムの稼働が約束できる。本格的な実証実験と翻刻活動を開始したい。
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