研究課題/領域番号 |
17K18503
|
研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
野田 尚史 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, 教授 (20144545)
|
研究分担者 |
松崎 寛 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10250648)
石黒 圭 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究領域, 教授 (40313449)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
キーワード | 聴解 / 日本語学習者 / 辞書 / 日本語教育 |
研究実績の概要 |
日本語を母語としない日本語学習者が日本語の日常会話を聴き取るとき,既存の辞書はほとんど役に立たない。わからない表現を辞書で調べても,辞書に載っていないことが多いからである。この研究では,日本語聴解用辞書の開発を最終目的として,「音声調査」(少数精密調査)と「文字調査」(大量収集調査)の2つの調査を行う。「音声調査」というのは,日本語学習者に日常会話の音声を聞いてもらい,学習者どのように誤って聴き取っているのかを明らかにするものである。「文字調査」というのは,日本語学習者に文字化された日常会話を読んでもらい,学習者はどのような表現がわからないのか,学習者はどのような見出しで辞書を調べるのかを明らかにするものである。 この研究は,この2つの調査結果を分析し,学習者は日本語の音声をどのように誤って聴き取ったり聴いてもわからなかったりするのかを明らかにした上で,その調査結果から日本語聴解用辞書に載せるべき表現を選定して,ウェブサイト等で公開することを目的としている。 本年度は昨年度に引き続き,音声調査を中心に進めた。昨年度までは調査対象者は中国語母語話者とヨーロッパ諸言語の母語話者を中心にしていたが,本年度はベトナム語母語話者に対する調査を中心に行った。最近,ベトナム語を母語とする日本語学習者が急増しており,また,特に聴解において他の母語話者とは違う困難点があることがこれまでの予備調査でわかったからである。収集されたデータについては整理を進め,また,学習者が聞いた音声の文字化を行った。 一方,文字調査については,文字化された日常会話を読んでもらうだけでは良質なデータが得られないことがわかったため,文字化されている日常会話を音声化して,それを学習者に聞いてもらう方法を開発し,調査を開始した。来年度はその調査を本格的に行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね計画どおりに研究を行い,計画どおりの成果が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
特に問題点はない。今後も計画どおりに研究を推進する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度の冬に計画していた海外での調査が先方の事情により次年度に延期されたため,次年度使用額が生じた。 次年度使用額は,当初の計画に加え,海外での調査費用とそこで得られたデータの整理費用に充てる。すでに日程を含めて台湾での調査計画が決まっている。
|