研究課題/領域番号 |
17K18531
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研究機関 | 九州国際大学 |
研究代表者 |
花松 泰倫 九州国際大学, 法学部, 准教授 (50533197)
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研究分担者 |
地田 徹朗 名古屋外国語大学, 世界共生学部, 准教授 (10612012)
浅田 晴久 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (20713051)
柳澤 雅之 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (80314269)
大西 健夫 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (70391638)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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キーワード | ずれ / ナショナルボーダー / 環境ボーダー / 社会ボーダー / 礼文 / カザフスタン / インド / アッサム |
研究実績の概要 |
平成31/令和元年度は、まず6月に名古屋外国語大学で研究会を実施し、昨年度までの研究成果をメンバーで共有し、問題点や視角を明確にして最終年度の研究取りまとめと成果公表の方向性について議論した。 次に、日本の境界研究コミュニティの諸行事に参加して意見交換を行った。具体的には、5月に北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターで開催されたセミナー「北海道でボーダー(境界)を考える」に、9月に北海道稚内市・礼文町で開催された境界地域ネットワークJAPAN礼文セミナーならびに国境を越えないボーダーツーリズム宗谷編(ビッグホリデー主催)に参加し、境界地域の交通の問題と境界地域の環境・社会との関連性について知見を得た。 北東アジア地域については、文献収集を中心として、中露国境地域における環境保全政策の動きを把握し、近時の境域における人やモノの移動に関するデータを収集しながら環境ボーダーと社会ボーダーの相関関係について分析を進めた。 中央アジア地域については、カザフスタンに調査出張をし、カザフスタン側小アラル海地域での牧畜と自然利用の実態について調査した。また、政治地理学、環境と生業に関する理論的側面に関する二次文献の収集と分析を重点的に行った。 南アジア地域については、インド・アッサム州とブータンの国境付近に暮らす多民族居住地域の生業活動について、現地調査を行った。アッサム州・グワハティ市からブータン領内のサムドゥプ・ジョンカルまで面的に観察することで、境界地域の自然環境変化と民族の移住史に関して知見を得ることができた。アッサム州内では、現在も井堰灌漑を介して異民族間の協働が実現しているが、ブータン領内まで視野を広げることで、境界を越えた民族間の協力関係が歴史的にみられたことも分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は最終年度の研究取りまとめに向けて現地調査を秋までに終え、年度後半には北海道大学スラブユーラシア研究センターが発行する「境界研究」への投稿を準備する計画であった。しかし、北東アジア地域での中露国境域を中心としたフィールド調査で協力を求めている研究機関との調整が難航し、現地調査の遂行に想定以上の時間を要している。また、中央アジア地域、南アジア地域および東南アジア地域での現地調査についても同様の研究遅延が発生し、フィールド調査を年度後半に延期するか、中断せざるを得ない状況となった。それに伴って、各フィールドでの調査との比較および分野横断的な検討が十分に実施できておらず、予定していた国内学会報告および査読誌への論文特集号の投稿に至っていない。以上の背景を踏まえ、研究期間を1年間延長することを決定した。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長し最終年度となった今年度においては、昨年度実施できなかった現地フィールド調査を速やかに完了し、フィールド間比較を中心としたメンバー間での議論をもとに国内学会報告および査読誌への論文特集号の投稿を目指す。しかし、新型コロナウィルス感染拡大が調査フィールドでも懸念されており、今後の現地調査の遂行に関する実現可能性については予断を許さない状況である。我が国および各フィールドでの今後の感染状況と移動手段確保の推移を見守りながら、適宜計画を柔軟に変更しながら年度末の成果発表に向けた準備を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は研究取りまとめに向けて現地調査を秋までに終え、年度後半には北海道大学スラブユーラシア研究センターが発行する「境界研究」への投稿を準備する計画であった。しかし、すべての地域での現地調査について研究遅延が発生し、フィールド調査を年度後半に延期するか、中断せざるを得ない状況となった。それに伴って、各フィールドでの調査との比較および分野横断的な検討が十分に実施できておらず、予定していた国内学会報告および査読誌への論文特集号の投稿に至っていない。以上の背景を踏まえ、研究期間を1年間延長することを決定した。 研究期間を延長し最終年度となった今年度においては、昨年度実施できなかった現地フィールド調査を速やかに完了し、フィールド間比較を中心としたメンバー間での議論をもとに国内学会報告および査読誌への論文特集号の投稿を目指す。しかし、新型コロナウィルス感染拡大が調査フィールドでも懸念されており、今後の現地調査の遂行に関する実現可能性については予断を許さない状況である。我が国および各フィールドでの今後の感染状況と移動手段確保の推移を見守りながら、適宜計画を柔軟に変更しながら年度末の成果発表に向けた準備を進めていく。
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