研究課題/領域番号 |
17K18533
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
長津 一史 東洋大学, 社会学部, 准教授 (20324676)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 海域世界 / 境域 / アジア地域像 / インドネシア / 越境移動 / ティモル海域 / 国境 |
研究実績の概要 |
2018年度の文献資料調査は主にインドネシア科学院、インドネシア・マカッサルの国立文書館、シンガポールのシンガポール国立大学図書館・アジア文化研究所(ARI)、シンガポール東南アジア研究所(ISEAS)でおこない、ティモル海域・アラフラ海・フロレス海を介したスラウェシ島嶼域とオーストラリア北岸域の人・モノ・技術の移動交流史、ならびにマカッサル海峡等の他の境界海域における海を介した人・モノ・技術の移動交流史に関する考古学・人類学・歴史学文献を収集・整理した。昨年度に引き続き、これらにより得た資料をもとに、『ティモル海における豪尼間移動交流研究のデータベース(DB)』の作成に向けた海民の人口移動と民族間関係に関するデータを整理した。これらの資料のうち、海サマ(バジャウ)を中心とする海民の移動史、海民の自己・他者表象の変遷に関しては、2019年2月に刊行した著書『国境を生きる--マレーシア・サバ州、海サマの動態的民族誌』(木犀社)の複数の章に公表している。また、豪尼間の移動を含む海民の移動の政治的文脈については、2018年7月にマレーシア・ペナンで開催されたInternational Conference on Hunting and Gathering SocietiesにおいてSea Peoples’ Creolism and its Political Settings in Southeast Asian Maritime Worldのタイトルで公表した。資料調査期間には、インドネシア科学院、ハサヌディン大学のインドネシア人研究者と上記データベースについて検討し、同時に次年度の調査計画を調整した。他に、インドネシア東ジャワ州、マレーシア・クアラルンプル博物館・観光資料室、マレーシア・サバ州の海民居住地において、在地の歴史表象・地域表象に関する現地調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度末、本科研の成果を含む著書を刊行した。その作業が膨大になり、オーストラリアにおける歴史表象・地域表象に関する現地調査が実施できず、また『ティモル海における豪尼間移動交流研究のデータベース(DB)』の暫定版を完成することができなかった。結果、同調査と同DBの作成は2019年度に持ち越された。
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今後の研究の推進方策 |
既述のとおり、昨年度、計画していたオーストラリアにおける歴史表象・地域表象に関する現地調査が持ち越しとなったので、今年度の夏期休暇中にはこれを優先的におこなう。9月にはドイツで開催されるヨーロッパ東南アジア学会において、本研究の成果の一部、特にティモル海域・アラフラ海域を越えるスラウェシ海民のオーストラリアへの移動・出漁に関する考察を公表する。同時に、インドネシアの歴史表象・地域表象に関する作業を継続し、予定通り『ティモル海における豪尼間移動交流研究のデータベース(DB)』を完成させる。なお現時点では、研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題等は生じていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度の旅費の精算が2019年度に持ち越されたため未使用額が発生した。
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