本研究では、博物館や在地文書における歴史表象、フィールドワークで得た民族に関する語り、文献資料を基に、ティモル海域におけるオーストラリア-インドネシア(豪印)間の民衆交流史を整理し、その知見に基づく両国の自国史表象の再編過程を比較考察することを目的とした。新型コロナ禍のため現地調査の一部は予定通りに実施できなかったが、オーストラリア、インドネシア双方において豪印間の民衆交流史とそれに関連する自国史表象の基本資料を収集、分析するはできた。インドネシアでは、同交流史の担い手となったスラウェシ島の海民村落でフィールドワークも実施した。これらの成果は、複数の著書・論文ならびに国際学会で公表された。
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