研究課題/領域番号 |
17K18535
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
三浦 英樹 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (10271496)
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研究分担者 |
奥野 淳一 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (00376542)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | アデリーペンギン / ルッカリー / 古環境 |
研究実績の概要 |
本年度も、昨年度に引き続き、① アデリーペンギンルッカリーの地理的分布とそれらの形成史、② 南極の海水準の変動史、③ 南極氷床の変動史、④ ペンギンの餌内容(海洋生物)の変化史、という南極沿岸の自然環境変動史の全体像を地質学的な時間スケールで明らかにし、約5 万年前以降、どのような必然性でアデリーペンギンが現在のルッカリーの場所を選択してきたのか(アデリーペンギンは、なぜ、いつから、その場所を選んだのか)について、分析・考察するための基礎データの取得を進めることを目標として、以下の作業と考察・検討を行った。 (1) 調査対象としている、南極・リュツォ・ホルム湾のスカルブスネス・鳥の巣湾、ラングホブデ・水くぐり浦、ラングホブデ・袋浦、ルンパ島の各アデリーペンギンルッカリーの測量結果の内容を、周辺の海底地形図、日本南極地域観測隊で撮影した空中写真や衛星画像も利用して、包括的な図としてとりまとめた。 (2) 最近出版されたアデリーペンギンルッカリー遺物の年代測定と同位体分析の結果について検討し、今後の分析項目と分析内容および試料の前処理の必要性について再検討を行った。 (3) 完新世や歴史時代の気候変動との関係を議論した論文を参照して、どのような視点と解析方法で古環境とルッカリーの定着・拡大との対応関係を議論するかを検討した。特に、歴史時代の夏期の降水量の増加、冬季の降雪量の増加によって、アデリーペンギンのルッカリーの放棄が進んだことが推定されており、それをもたらす気候学的・気象学的な背景について、これまでの研究成果をおさらいした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者の所属機関における南極観測事業の業務負担が増大したことと研究代表者の体調不良のため当初計画が遅延したため。また、最近公表された、本研究課題に関連する最新の論文の内容を受けて、本研究課題でも分析内容について慎重に検討する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
再検討を行ったルッカリー遺物の分析項目と分析内容および前処理を、必要に応じて実施し、最終年度として年代測定結果と知にとりまとめて、古環境とルッカリーの定着・拡大との対応関係を議論する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属機関における南極観測事業の業務負担が増大したことと研究代表者の体調不良のため当初計画が遅延したため。また、最近公表された、本研究課題に関連する最新の論文の内容を受けて、本研究課題でも分析内容について慎重に検討する必要が生じたため。試料の年代測定と同位体分析を分析するために経費を使用する予定である。
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