研究課題/領域番号 |
17K18536
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研究機関 | 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター |
研究代表者 |
高垣 政雄 公益財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター, その他部局等, 研究員(移行) (70252533)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 文化人類学 / エスノグラフィー / 福島原発事故 / 低レベル放射能環境 / 帰村 / コミュ二ティー / 福島県飯舘村 / 放射線管理 |
研究実績の概要 |
災害の人類誌関連の先行研究調査をほぼ終了した。チェルノヴィリ原発関連の先行研究を含め福島原発事故との比較分析を行なった。先行研究から見出された新たな視点を緒に、福島でのフィールドワークデータの解析とまとめの準備をほぼ終えている。2018年度は避難解除後の帰村実態、帰村民のその後の語りなどを中心に聞き取り調査を行なった。さらに前年に引き続き原子力科学を専門とする科学者や福島県飯舘村の村民や行政職の方々に福島原発と科学の責任についてインタヴュー調査を行なった。2017年度研究内容は京都大学複合原子力科学研究所2018年度共同利用研究報告(KURRI-TR2018)等に発表された。 原子炉の民族誌(仮称)として研究最終年度にむけてのデータ整理と執筆を開始した。一部は研究代表者の博士論文として執筆を始めている。 本研究は福島原発事故後2014年度より3年間、さらに引続く2017年よりの3年間、合わせて6年間の長期にわたって継続された原子炉の民族誌研究、とりわけ福島県飯舘村でのフィールド調査は避難~帰村へと長期間の変容を記録している。最終年度は村民との関わりをさらに強め総会等を企画し研究総括と意見交換を行なっていく。そこで集積したデータは最新年度を中心にまとめと代表者の博士論文執筆を継続して行っている。これらを元に帰村後の飯舘村を中心に被災地における課題を分析し今後の民族誌調査に繋げた。さらに原子力と福島考察から原子力の今後のあり方についてまとめたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年3月飯舘村は原発事故後、避難、除染などを経て6年ぶりに避難解除された。これまでフィールドワークを行ってきた飯舘村大野台仮設は閉鎖された。本研究では避難から避難解除および 帰村後の被災者の実態を長期に追跡調査することで帰村の民族誌としてまとめ、原子力が人類にもたらす功罪と近未来にエネルギーとしての原子炉と人類がどのように扱っていくべきなのかの考究を深めている。 帰村民らとの集会は避難解除後再開された飯舘村宿泊体験館きこりに合宿して長時間にわたって討論する形で継続的に行なっている。避難解除後の帰村民、帰村しない村民、その次世代、行政などの人に集まっても らって自由に議論した。議論は毎回深夜遅くまで続いた。あらかじめテーマを出すことも出さないこともあり自由に討論を行った。そこで得られたデータは被災者の集団としてのリアルを表出しており帰村民集団として意向をまとめるには効果的な研究方法であると思われる。 さらに、原子力研究に従事する研究者調査は京都大学複合原子力科学研究所共同利用研究として行なった(研究課題:原子炉の人類誌(No.30045, 2019)。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は引き続き合宿インタヴューなどで帰村民へのインタヴューを行い、帰村後のデータを収集する。2018年は研究代表者の本研究課題での博士論文執筆、 2019年度中の学位取得と博士論文の出版を目指す。 2019年度京都大学複合原子力科学研究所共同利用研究(課題:原子炉の人類誌)は採択され本研究のフィールド研究の場をすでに確保されている。 本研究は福島原発事故後2014年度より3年間、さらに引続く2017年よりの3年間、合わせて6年間の長期にわたって継続された原子炉の民族誌研究、とりわけ福島県飯舘村でのフィールド調査は避難~帰村へと長期間の変容を記録している。最終年度は村民との関わりをさらに強め総会等を企画し研究総括と意見交換を行なっていく。そこで集積したデータは最新年度を中心にまとめと代表者の博士論文執筆を継続して行っている。これらを元に帰村後の飯舘村を中心に被災地における課題を分析し今後の民族誌調査に繋げた。さらに原子力と福島考察から原子力の今後のあり方についてまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究最終年度にかけてフィールワークの総括、被災者らとのワークショップ、写真集、などの他、研究代表者の学位論文作成(令和2年3月京都大学人間環境学研究科文化人類学分野修了予定)に向けて相当額の経費を見積もっている。
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