研究課題/領域番号 |
17K18537
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研究機関 | ふじのくに地球環境史ミュージアム |
研究代表者 |
山田 和芳 ふじのくに地球環境史ミュージアム, 学芸課, 教授 (60508167)
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研究分担者 |
藤木 利之 岡山理科大学, 理学部, 講師 (10377997)
香月 興太 島根大学, エスチュアリー研究センター, 講師 (20423270)
瀬戸 浩二 島根大学, エスチュアリー研究センター, 准教授 (60252897)
高山 浩司 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60647478)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 年縞 / 藻琴湖 / 浜名湖 / 環境DNA / 堆積物DNA / 動物相復元 |
研究実績の概要 |
本研究は、国内の年縞堆積物を対象として環境DNA分析を実施して、化学成分や微化石から復元できない動植物相や人間活動履歴情報を網羅的に把握することができるのか、その検証をはじめて試みることである。 そのために、気候環境や文化人類学的に景観の異なる北海道藻琴湖および、静岡県浜名湖に堆積する完新世(過去約1万年間)の湖底堆積物(年縞)を対象として、環境DNAの解析手法を援用して、景観を構成する生物相や人間活動履歴を時系列変化として復元する。 平成29年度においては、その材料となる北海道藻琴湖および、静岡県浜名湖に堆積する年縞の採取のため、掘削調査を実施した。浜名湖は2017年7月に、藻琴湖は2018年2月に調査を実施した。その結果、両湖において良質な年縞堆積物を無事に採取することができた。 また、8月には関係者ミーティングを実施して、研究の具体的な進め方について協議した。とくに、DNAの損傷程度の確認および、分析フローの確立を目的として、堆積年代の異なるスポットサンプルによる、メタ解析によるDNA分析を一次的に実施する方針を確認した。その際のターゲットを魚類を中心とする動物相とすることで進めることとした。藻琴湖については家畜として飼育されている豚牛の出現と、かつて生息していたイトウとの関係を議論することとしている。一方、浜名湖においては、湖水環境が一変した西暦1498年の前と後での海水魚の出現頻度についての検討を行うこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に実施予定であった年縞堆積物のサンプリングは順調に実施することができている。一方、年縞中のDNA損傷の程度を明らかにするための、スポットサンプルを持ちいたメタ解析によるDNA分析の実施には至らず、方法の確立には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、DNA分析の実施検討を行い、復元検証のための方法の確立とともに、抽出できる情報の整理に取り組む。その後、年縞DNAによって復元された景観を構成する動植物相の在不在データを、従来の古環境学的解析(化学成分、微化石)データや、考古学・自然人類学的データと比較検討し、当該地域の景観変遷を論じる。 遅れているDNA分析の実施体制については、研究分担者と密に連絡を取り合っている段階であり、問題ないことは確認している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に実施予定であったDNA分析によるメタ解析を平成30年度実施に先送りしたため次年度使用額が生じている。このDNA分析を中心とする実験については、平成30年度請求分と合わせて実施することとしている。
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