研究課題/領域番号 |
17K18543
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研究機関 | 北星学園大学 |
研究代表者 |
竹田 恒規 北星学園大学, 経済学部, 講師 (40347745)
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研究分担者 |
足立 清人 北星学園大学, 経済学部, 教授 (80405620)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 災害復興法学 / 防災集団移転促進事業 / 高台移転事業 / 行政法学 / 民法学 / 北海道南西沖地震 / 防災 / 減災 |
研究実績の概要 |
(1) 平成30年度は、当初予定していた現地調査を1回しか実行できなかった。現地調査では、関係者へのインタビューを実施したほか、青苗地区の現地踏査を行うことができた。また、当時北海道庁から奥尻町役場に派遣されていた元職員の方に、インタビューも行った。これにより、現地調査の「裏を取る」ことがある程度できた。一次資料の整理と分析をある程度行うことができた。 (2) これに基づき、平成5年の発災時からほぼ3年の期間で実施された「防災集団移転促進事業」、「漁業集落環境整備事業」の実際のプロセスを整理した。これらの整理に基づき、北海道大学公法研究会において(平成30年1月26日)、「災害復興と行政法理論:奥尻町青苗地区(93年北海道南西沖地震)のケーススタディ」との題目で研究会報告を行った。多くの研究者の方々から貴重なご意見・ご批判をいただくことができた。 (3) 2018年度も引き続き、災害復興法学の学説の整理と、奥尻町の復旧・復興に関わる研究史の整理と読みこみを行っている。さらに、奥尻視察で得た複写資料の整理と読みこみも継続中である。私法的な分析を行うためには、所有権をめぐる法制度と相続制度の基礎理論を整理し、習得することが必要である。別記載の研究業績を発表する過程で、基礎理論の整理と習得に努めた。なお、所有権論・相続制度については,独立した論考を発表する予定である。 (4) また、不幸なことではあるものの、平成30年9月の胆振東部地震では、われわれ自身が「被災者」の立場に置かれた。液状化現象の被害があった地域は、復旧に向けて様々な事業が進捗中でる。また大規模な土砂崩れが起きた地域もあり、それら各被災地の復旧・復興の状況についてもフォローを始めた。青苗地区の経験からわれわれが学び得たものをもって、胆振東部地震の復旧・復興に寄与することができないか、模索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
天候不良や胆振東部地震のため、当初計画していた現地調査を予定通りに行うことができなかった(規模を縮小して1回のみ実施した)。 一次資料の整理はほぼめどがついたが、その分析には苦労している。より精度高く読み解く能力が欲しいものである。 また、胆振東部地震を受け、行政実務担当者の経験知を広く共有する機会、さらにはそれが行政実務担当者だけでなく広く(研究者を含む)国民一般に共有されるべき必要性を痛感している。そのために、青苗地区の復興に携わった行政実務担当者をお招きし、胆振東部地震の復旧に携わっている方々に知見を届ける機会を設けることはできないかと考えており、シンポジウム形式で研究集会を実施することを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
南西沖地震それ自体の法学的研究の先行業績はそれほど多くないが、それらの分析や、東日本大震災や中越地震を踏まえた先行業績にフォローを進めている。 以上を基に、まとまった論攷につなげ、公表したい。 また、青苗地区の復興に携わった行政実務担当者の経験知を、災害からの復旧・復興に携わる実務家や研究者の中で共有するシンポジウム形式で研究集会を実施することを検討している
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査が、天候不良と胆振東部地震により、規模を縮小して1回しか実施なかったことが、当初計画に菱旅費の支出が少額となった要因である。その結果、謝金も発生していない。 【設備備品費】令和元年度も引き続き、災害復興法制に関する文献の収集が必要であり、当初計画通りの支出を予定している。【旅費】令和元年度も、過年度に引き続き現地調査を予定している。【人件費・謝金】シンポジウム形式での研究集会の開催のために、奥尻町から実務経験者の方を招聘することを考慮すると、その方の交通費・宿泊費の支出や謝金の支払いが発生する。
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